勤務医から見た動物病院の 経営不振

公開日:2020年05月18日 最終更新日:2024年06月23日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

勤務医の目には、「動物病院の 経営不振 」はわかりにくい

自分が勤務医として働いている動物病院の「経営状態がどうなのか」を考えたことがあるでしょうか。

「毎日忙しくしているからうちの動物病院は大丈夫」とか、

「経営のことを考えるのは院長の仕事だから、勤務医の私には関係がない」とか、

そう思っている方も多いはずです。

また、動物病院が潰れたという話も聞かないから、動物病院業界は厳しいと言われながらも、まだまだ大丈夫だろうと思われている方が多いことでしょう。

しかし、変化はすでに始まっています。

経営不振に陥る動物病院が出始めているのです。

と言っても、勤務医にはあまりピンとこない話かもしれません。

そこには3つの理由があるからです。

これは、この動物病院業界に特有の特徴点の1つと言えるかもしれません。

 

売り上げが落ちても、院長1人経営なら十分に動物病院を存続させていくことができるから

●1つ目の理由は、

「売り上げが落ちても、院長1人経営なら十分に動物病院を存続させていくことができるから」です。

 体力的な理由からあえて売り上げを落として、自分ができる範囲で診療を続けていくことができるからです。

 ただし、これは開業資金や不動産などの借金を返し終わっている場合です。

 毎月の返済額に売り上げが追いつかなくなって運転資金に困るようになってくると経営に行き詰まっていくことになります。

➡️関連記事「動物病院の倒産はなぜ起きるのか?」  

勤務医が多く居る大病院や企業動物病院を就職先に希望する人がほとんどだから

●2つ目の理由は、

「勤務医が多く居る大病院や企業動物病院を就職先に希望する人がほとんどだから」です。

犬の少子高齢化と高齢犬の数の高水準によって、動物病院には格差、二極化の流れが始まっています。

それは、高齢の重症患者が勤務医が多く居る大病院や企業動物病院に集中しているからです。

一昔前は独り院長の動物病院に勤めて修業して独立を目指すのが普通でしたが、今はすでに勤務医を多く抱えている大病院や企業動物病院が就職先として選ばれています。

そのため、独り院長の動物病院の経営がどうなっているのかにはあまり意識が向いていません。

 

売上不振から経営に行き詰まる動物病院があっても、薬や器械の業者は新規開業者を減らしたくないのでそのマイナス情報は内密にするから

●3つ目の理由は、

「売上不振から経営に行き詰まる動物病院があっても、薬や器械の業者は新規開業者を減らしたくないのでそのマイナス情報は内密にするから」です。

売り上げが落ちると、毎月の支払いに影響が出てきます。

不動産・テナント代、薬代、器械代、そして開業資金の返済などなど。

動物病院経営が思わしくなくなってくると、これらの支払いが滞ってくるわけですから、動物病院の経営不振についての情報はこれらの業者が一番持ち得ているはずです。

しかし、これらマイナス情報は内密にされてしまいます。

なぜなら、新規開業者が減ってしまうからです。

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