これから動物病院業界は激変の時代に入っていきます。
激変とは、激しく変化するという意味、その変化とは、これまでの常識がひっくり返ることを意味しています。
その1つの常識が「新規開業するのが当たり前で、開業さえすれば成功できた」というものですが、「どうもそうは言えなくなってきた」と多くの勤務医が思っていることでしょう。
そこでこのネット情報サイト「サクセッション」が勤務医に勧めているのが、
承継開業という新たな 開業法 です。
この承継開業の1番の特徴点は、
「高齢犬を多く抱えている繁盛動物病院を引き継げること」です。
今までの動物病院の開業について
ただこの情報サイトを知らない勤務医は、開業するとなると、大学時代の友達か、動物病院に出入りしている器械などの業者に相談するでしょうが、友達も業者もこの承継開業については詳しい実情を知らない場合が多いです。
また、業者は新規開業を勧めてくるでしょう。それは、器械が新たに売れるからです。
「繁盛している動物病院が譲渡されている」ことだけでも、他の業界では事例が少ないことです。
M&Aにしろ、吸収合併にしろ、勝ち組が負け組を呑み込むのが常識で、この繁盛している動物病院を譲り受けられるだけでも、他業界からすれば、非常識なのです。
そこでこの承継開業の他業界ではあり得ない事例をFASAVA-TOKYO2019での「メディカルプラザ・承継開業コンサルタント西川芳彦氏」の講演内容をもとに紹介していきましょう。
経営失敗からの「リセット&再出発」
米国では、たとえ事業に失敗したとしても再出発できますが、日本では一度でも失敗すると金融機関の融資が受けられなくなるなど、失敗が赦されない社会であると言われます。
この日本において、首都圏の経営不振の動物病院を廃院して、地方都市で銀行融資が受けられて承継開業にて再スタートした事例ができました。
これは、動物病院業界のみならず、全業界でも珍しい事例と言っても過言ではありません。
この事例は、
首都圏では過当競争が起きて動物病院経営が難しくなっている点と、
地方での獣医師不足は深刻な問題になっている点
の2点を浮き彫りにしています。
首都圏に集中する獣医師の採用事情
獣医学生が勤務先動物病院を探すのは首都圏に集中し、一方、地方では繁盛動物病院でも勤務医が募集しても来ないという状況が生まれています。
そのため、勤務医が見つからないのなら引退して若い獣医師に後を任せようと考える院長から、「譲渡代金は全額分割払いでもいい」と言われることがあります。
これは、頭金なし。預金がない勤務医でも開業できるという好条件です。
首都圏で新規で開業して資金繰りに困っていた院長と地方都市で獣医師不足に悩んでいた院長とを結びつけることによって、この「あり得ない事例」は実現しました。
今後、首都圏で経営難に陥る動物病院が増加することは間違いありません。
そこで今回のケースにように、地方で再出発するというモデルが一般化すれば、大都市圏での開業ラッシュと地方都市での後継者不足の両方を解決しうる有力な手段になると考えています。
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