動物病院業界 の3つの課題とは?
この 動物病院業界 の発展の経緯を振り返る時、飼い主のペットへの意識が大きく変わったことが大きな追い風になってきました。
昭和の頃は家の外で「番犬扱い」で飼われている状況でしたが、平成に入ると、ペット・愛玩動物として家の中で飼われるようになり、いまでは、「家族同様」であり、
中には、「子供よりもワンちゃんの方がかわいい」と言う飼い主もいます。
そのため、獣医師も新たな要求にこたえなければならなくなりました。
そこでこれから獣医師に問われてくる、3つの課題について整理してみたいと思います。
獣医療の高度化
1つ目は、「獣医療の高度化」です。
獣医科大学は、入学希望者に対して、「高度医療」をやっていることを大学の売りにしてきました。
こうして若い獣医師は、「高度医療が大事である」という価値観を植え付けられることになりますが、50歳代、60歳代の今の院長が大学時代には、高度医療どころか、小動物の授業すらありませんでした。当時は、大動物が中心でした。
そのため、この高度医療については、批判的な院長が数多くいます。
人間の病院で言えば、今の先生はCTスキャンやMRAなどの検査データを重視しますが、
昔の先生は、「触診」を重視した
というのと同じです。
この高度医療の在り方については、世代間で大きなギャップが存在しています。
延命治療の問題
2つ目は、「延命治療の問題」です。
これは、医療が高度化したことで新たに出て来た問題です。
「人間並みに延命させることには疑問を感じます」という意見は、50歳代、60歳代の今の院長からは多く聞かれます。
最近では人間でも、尊厳死、自然死を選ぶ人が増えています。
人間は自分の意思で決められますが、動物はそうはいきません。
動物たちの延命治療をどう考えて行くのかはこれから考えていかねばならない課題です。
高額医療費の問題
そして3つ目は、「高額医療費の問題」です。
医療が高度化し、延命治療を行うとなると、次は当然、高額医療費の問題が起きてきます。
人間の医療であれば、健康保険によって自己負担分が高額になった場合、一定の金額を超えた分があとで払い戻される高額医療制度がありますが、
動物医療の場合は、任意のペット保険に入っておくしかありません。
突然、高額の請求が来てビックリしたという飼い主さんもおられます。
これらの高度医療の課題とは、つまり、「動物医療を人間同等に考える」といった流れから出てきたものですが、50歳代、60歳代の院長はこうは考えません。
「動物の医療と人間の医療とは分けて考えるべきである」と。
人間の医療はゲノムなどの再生医療の領域に入り、倫理を無視して技術一辺倒で超高度化してきていますが、動物医療が目指す方向についても、高度化の流れは人間医療と変わらないでしょう。
高度化していくことが嫌でリタイア、廃業していく院長がおられますが、若い先生には技術一辺倒ではなく、この高度化がいったいどこに向かおうとしているのかといった意識を持って頂きたいと思います。
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