動物病院の 経営 における避妊と去勢

公開日:2019年12月25日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

動物病院の 経営 における避妊と去勢

今の動物病院の売り上げを支えている高齢犬が激減していくことで、これまで通りの病院経営では成り立たなくなっていく。

ヒトの医療でも病気になってからの治療ではなく、病気にならないようにするヘルスケア産業が2030年には37兆円規模の産業になると見込まれているほど、新市場が拡大してきている。

動物病院もまた同じ。

未病、予防医療がこれからの獣医療業界に新たな市場を作り出すと言う、安田獣医科医院・安田英巳先生にその具体策などをうかがった。

脂質代謝異常に注目

安田先生:  どこの動物病院でも、犬や猫の避妊手術、去勢手術はされていますが、この手術が「脂質代謝異常」、つまり肥満を引き起こす原因を作っていることはあまり認識されていません。

性ホルモンはステロイドで、その原料はコレステロールです。

避妊手術をすれば子宮の病気を防ぐことにはなりますが、これは、人為的に「閉経」を起こしていることと同じです。

そこで提案しているのが、コレステロール、中性脂肪の脂質代謝を精査する「LipoTEST」です。

肥満は糖尿病やがんを引き起こす可能性があります。

骨折などの手術では「定期検診」が普通に行われているように、避妊・去勢手術をした1、2年後にこのLipoTESTをやることがこれらのリスクを未然に防ぐことになり、

動物病院としては新たな市場開拓になります。2年から3年に1度、この検査をやるだけで、

肥満から発生する病気の予防になり、動物病院の新たな収入源にもなります。

避妊や去勢による肥満の可能性

Q:  安田先生の病院では、手術前にこうした肥満が起きることを飼い主さんにはきちんと知らせているのでしょうか。

知らされれば、手術をやるかやらないかで迷うでしょう。

安田先生:  これは、飼い主さんにも考えてもらわなければなりません。

獣医師は手術を勧めるでしょう。

獣医師に言われたら、飼い主さんはそのまま従う。

結果として、犬や猫は肥満というリスクを背負うことになる。

物事にはすべて裏表があります。

手術をやることで起きるリスク、手術をやらないから起きるリスクをきちんと説明して、飼い主さんにはとことん考えて判断して頂きたいと思います。

本来、犬には善玉コレステロールが優位ですが、避妊・去勢手術を行うことで悪玉コレステロールが増えて、ヒトと同じようになることが分かっています。

健康診断として、従来通りの血液検査だけではなく、このような検査を取り入れていくことがOneHealth、そして未病の内からの対策が可能になってくると考えます。

こうした情報も、これからどんどん発信していかなければならないと思っています。

 

避妊・去勢手術後の肥満予防の検査ももう1つの新たな市場になる

安田獣医科医院、Alphaets株式会社 安田英巳先生

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