獣医師を 引退 できる人、できない人の違いはどこにある?
Q: 獣医師を早期 引退 であるないに限らず、引退ができる院長と出来ない院長との違いがどこにあるとお考えですか。
作本: 「引退したあと何をしたらいいのか?」と思っている人は、まずやめられないでしょう。
一瀬: そうですね。たいていの人が「やめてどうするの?」と言います。
私は、雇い院長を募集することと、自分の引退とを同時進行で進めてきました。
そこで雇い院長の若い獣医師が来れば、また別の展開になっていたでしょうが、来なかったので、この承継で完全リタイアすることにしました。
この時点でリタイアを決断しなければ、ダラダラと院長を続けていたかもしれません。
この決断に導いてくれたのが承継開業コンサルタントさんとのご縁ですから、結果的に良い判断をしたと思っています。
死ぬまで働くという臨床獣医師について
Q: まだまだ死ぬまで働くという臨床獣医師の方が多いと思います。
一生働き続ける院長とある程度の年齢でやめる院長と、この両者はどこが違うのか、個性の違いなのかとも思いますが、先生方は経験からどう思われますか。
一瀬: 作本先生も同じだと思いますが、ある程度の年齢にいくと、その先がどうなるかがみえるようになります。
そこで、先が見えて安心だと思う先生と、先が見えるからつまらないと思う先生との違いだと思います。
私は先が見えてしまうと、そんな仕事をこれから一生やり続けるのかと思うと、どうもやる気がなくなってしまう。
そんな仕事を続けるよりも、これから先に何があるのかがわからないことをやる方が自分は人生を楽しく生きられると思いました。
作本: 私も一瀬先生と同じことを考えました。
自分がやっていた病院にずっといたら、毎日が同じことの繰り返しになったり、面倒なことは避けて自分の好きなことしかやらなくなるので、売り上げが段々減って行くだろうと確信できました。
そうなってしまうのが嫌だったことも早期引退を決断した理由です。
引退 する理由となったのはスキルの衰え
もう1つは、5年前にうまくできていたことができないとか、思うよりも時間が掛かるようになったとか、明らかなスキルの衰えを感じたことも引退の要因でした。
さらには、モノの名前が出て来ない。
これは、かなりショックでした。
Q: 能力低下で自分の老化を感じることを苦に思う先生と苦にならない先生とに分かれるということでしょうか。
作本: そうだと思います。
自分の100%の力を患者さんに与えたいとの思いがあるから、それがどこまで落ちたら許せなくなるかという違いであると思います。
例えば、50に落ちてもまだまだやれると思う先生もいますし、シビアな先生だと98に落ちたらやめるという先生もいるでしょう。
Q: これは患者さんからみると全くわからないでしょうね。
作本: これは患者さんには絶対にわからない。いわば、獣医師としての信念なのだと思います。 高齢ドライバーの運転免許返納と似ていますね。
40歳代でなぜ早期引退ができたのか、その疑問にお答えします その2
静岡・一ノ瀬動物病院 一瀬猛元院長 ✖️ 大阪・作本動物病院 作本貞良元院長
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