動物病院を 廃業 する院長について

公開日:2019年12月25日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

 

動物病院を廃業する院長について

Q: 生涯獣医師として働くことが普通だと考えている院長先生は、最終的には 廃業 して病院を閉じることになりますが、事業承継を考える院長先生は、なんとか病院を残そうと考えます。

この両者の違いがどこにあるとお考えですか。

動物病院を 廃業 する院長と事業承継で病院を残そうとする院長の違いは?

作本:  事業承継を意識する人と意識しない人との違いがどこにあるのかと考えますと、スタッフ、患者さん、そして若い獣医師など、相手のことを考えられているかどうかの違いであると思います。

自分さえ良ければと思っている先生は、自分の病院だから病院を潰すのも自分の勝手、子供が継がないなら、他者に譲ってでも病院を残さなければいけないという意識にはならないのだと思います。

「思い入れ」について

また、病院を譲ることは、自分が育てて来た病院とか器械とかを他者に譲ることですから、病院や器械に「思い入れ」がある先生はまず他者には譲れない。

「この器械を買うときはこんな思い出があって」など等。

承継できない先生にはこういうシグナルがあるように思います。

Q: 確かにそうですね。

これまで事業承継した院長先生に共通していたのは、「動物病院は院長1人で動いているのではない。スタッフさんが居て、患者さんが来院して成り立っているものであり、かつ、動物病院はその地域や社会にとって必要なものであるという認識をされているから、絶対に残さなければならないと思って、第三者への譲渡を決断した」

ということでした。

一瀬:  私もそう思います。

作本:  自分の病院を譲るとき、自分が居なくなったら患者さんはどんな行動をするのだろうかと考えたことがありました。

このまま来院してくれるのか、他の病院に行くのか。

事業承継をした後の患者さんについて

これは承継して初めてわかることですが、第三者に承継しても、患者さんはほぼ抵抗無く新院長を受け入れます。

私の診療でないと嫌だという患者さんは数%でした。

それも2年、3年と経つと、私でなければという患者さんはほぼゼロになっています。

Q:  この事業承継で院長を交代した時に、患者さんは院長の人柄等に惹かれて来院しているので、承継で患者数が 激減してしまう病院が出てもおかしくはないと思っていましたが、実際、これまでの承継実例の中で、来院数が減っているのは稀で、逆に増えている病院の方が大多数です。

前院長が新院長にジェラシーを感じるくらいに、患者さんはそのまま通い続けます。

 

一瀬: 院長が交代しても患者さんがそのまま通い続けるのは、後継者を院長が選ぶ時に、自分と方向性が似ている人を選んでいるからだと思います。

全く違うタイプを承継者にすると、病院がおかしくなってしまうと思います。

つまりは、後継者の選択をどこでするかと言えば、「自分とフィーリングが合うかどうか」ですから、自然と自分の思いを受け継いでくれる人を選んでいるから患者さんもついてくるということではないでしょうか。

 

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静岡・一ノ瀬動物病院 一瀬猛元院長 ✖️     大阪・作本動物病院 作本貞良元院長

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