獣医師で 早期引退 は可能なのか?
院長はいつ 早期引退 を考えていた?
Q: 山口先生は「この事業承継をしなければ動物病院は閉めていた」とのことですが、何歳くらいになったら引退( 早期引退 )しようと考えられていたのでしょうか。
山口元院長(以下、山口): 具体的に何歳になったらとは考えていませんでした。
夫婦ともに北海道で余生を過ごせたらと希望はしていましたが、それは漠然としたもので、働けなくなったら廃業して移住すればいいと考えていました。
Q: その引退時期を早めて、50歳代前半でリタイアを決断、実行したのはなぜですか。
山口: それは、同窓会に出席したのがきっかけでした。
一昨年、夫婦ともに同窓会があり、お互いの北海道熱が高まっていたところで、私の高校時代の友達が2人亡くなっていたことを知り「ああ、私もそんな 年齢になったんだ」と思いました。
これまでは、引退したら北海道に移住しようと思っていましたが、このまま引退時期を遅らせていたら、もう二度と北海道に住むことはできなくなるかもしれないと思い、「元気で動けるうちに行こう」と決心しました。
楽観的な性格なので、北海道に行って何らかの仕事をすれば、これからの生活は何とかなるだろうと考えて、引退に踏み切りました。
いざ獣医師のリタイアをしてみると?
◉いざリタイアしてみると、未練が一切なかったことに自分でもビックリでした
Q: 山口先生の50代での早期引退を、ご主人とか、周りの先生方はどのように捉えられたのでしょうか。
山口: 夫はこの動物病院の看護師と経理をずっとやってくれました。
想定より早い移住計画に、はじめは難色を示した夫でしたが、最近は「北海道に行きたいから仕事をやめると思っていたけど、今は、北海道に行けることよりも仕事をやめられる方が嬉しい」と言っていました。
私は獣医師が好きな仕事だったからここまで続けられてきましたが、夫はそうではない仕事をずっと続けてきてくれたのだとその時に気づかされました。
夫のこの気持ちを考えると、いいタイミングでリタイアできるのだと思います。
また、獣医師会の支部会で集まった時に早期リタイアの報告をしたら、みんな、一様に驚いていました。
「事業承継で引退する」と言ったら、私と同じ年代の先生は、「どこに頼んだの?」「いつから考えていたの?」と興味津々でした。
自分の身近な先生が事業承継で引退したら、「自分もできる」と考える先生が出てくると思います。
少し調べれば、廃業することがどれほど大変なことかがわかりますから、この事業承継で次世代に自分の動物病院を残すという発想に切り替えていく先生が増えて欲しいと思います。
獣医師のリタイア後の趣味は?
Q: リタイア後の生活はどのようにしたいとお考えですか。
山口: これまで好きな仕事ができて、幸いにして忙しい動物病院になって毎日楽しく働いていたのに、
いざリタイアしてみると、一切の未練がないのには自分でもビックリしています。
「院長の仕事はやり切った」との思いがありますので、北海道に行って、開業することは絶対にないと思います。
北海道に移住して、半年から1年間はゆっくりと過ごして、その間にこれから何がやりたいのかをじっくり考えたいと思っています。
夫婦共通の趣味は、バイクでのツーリングです。
現役時代は忙しく、バイクは買えても、走る時間がありませんでしたが、これからはバイクで走る時間がたっぷりできます。
こうしたハッピーリタイアが可能になったのも、承継開業コンサルタントの西川さんにお願いして、いい承継者をご紹介いただいたおかげです。
ベストなタイミングで、気持ちよく若い獣医師に動物病院を承継し、理想的な形でリタイアすることができました。
これからはセカンドライフを満喫したいと思っています。
新院長には「あまりにも忙し過ぎる動物病院なので、身体的にも精神的にも参らないようにしてね」とお願いしています。
私はこの事業承継で、50歳代前半での引退を選択しました
上池台動物病院 山口奈那元院長
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