動物病院の 後継者 はどうしたら良い?

公開日:2019年10月12日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

動物病院の 後継者 はどうしたら良い?

65歳で引退と思った矢先、 後継者 と思っていた代診が独立開業

Q1: なぜ先生はこの動物病院を絶対に残さなければならないと考えられたのでしょうか。

川口院長: この動物病院は、私を含めて、動物好きの人たちが集まる場所であるという思いがありました。

これが、私の病院の理念です。

動物好きの患者さんたちが来てくれる病院ですから、私がある日突然辞めてしまうとこの人たちは路頭に迷ってしまう。

この病院は、院長やスタッフのためにあるというよりも、この病院の理念をわかってくれている患者さんのためにあるものですからどんなことをしても残さなければならないと考えたのです。

 

「自分で後継者をみつけるのは難しい」というのが、

この第三者事業承継を選んだ理由です。

これまで代診の先生も勤務してくれていました。

その中から後継者を選ぼうとしたこともありましたが、「この人は」と思う人はたいてい自分で独立していきました。

 

65歳を過ぎてから、代診の先生が独立することになって、困ったことになりました。

自分も早く引退したいのに、後継者と思っていた先生が突然いなくなる。

あと何年も働けるわけではありませんから、大変焦りました。

そんな時に、タイミングよく、この事業承継を知ります。

動物病院の事業承継ってなんだろう?

動物病院の事業承継とは、なんだろうか。

正直言って、最初はよくわかりませんでした。

しかし、切羽詰まった状態ですから、直接会えば分かるだろうと思って、承継コンサル会社に電話したのが、この承継のきっかけでした。

実際にお会いしてこれまでの実績をお伺いして、私の病院も事業承継ならば継承者が必ずみつかると思い、お願いしました。

 

動物病院への 後継者 に要求したこと

動物病院への承継者( 後継者 )に要求したのは、「この動物病院の理念を引き継いでもらいたい」

Q2: 後継者を外部の第三者から選ぶために、院長先生がこだわったことは何だったのでしょうか。

川口院長: これまでこの病院で働いてくれている人なら、

私の思い、理念がもう浸透しているのでそのまま引き継がせてもよかったのですが、私が後継者にしたいと思った先生はできる人なので、やはり独立していきました。

 

そして65歳を過ぎて切羽詰まってきて第三者からということにしたのですが、その選択で一番大事にしたのはこの病院の理念を引き継げるか否かでした。

 

開業して40年になるこの動物病院の患者さんはこの理念に賛同して、この病院のカラーに染まりたいと思って来られている方々だと思います。

私は常日頃から「必ず主治医はみつけてください。それは私でなくていいですよ」と申し上げてきましたから、

いま来院される患者さんたちはこの動物病院のこれまでのやり方がいいと思っている方々です。

この患者さんたちには迷惑はかけられない安心して診療をうけて頂きたいと思ってきましたから、

65歳を過ぎても、新しい医療器械も導入しましたしこの病院の存続も考えてきました。

 

大事と考えたのは理念でそのまま受け継いでくれる先生を探すのに、3年間かかりました。

事業承継を依頼する時、承継コンサル会社にまずお願いしたのは「この病院で飼っている動物たちをそのまま大事にしてくれる人を探してください」ということでした。

なかには身体が不自由な子もいます。

これが第一の条件でしたがピッタリと合う先生と出会えました。

短気な私がよく3年間待ったと思いますがこの先生と出会えて、3年間待った甲斐があったというものです。

動物病院の廃業について

Q3: 川口院長のように、病院をぜったい病院は残さなければならないと考えておられる院長はまだまだ少なく、

大多数の先生は後継者がいなければ、そのまま廃業してしまいます。

この廃業についてはどうお考えでしょうか。

川口院長: 私もこの事業承継で第三者のなかから後継者がみつからなければ2つの選択肢のうち、どちらかを選ぶしかありませんでした。

動物病院の廃業or事業を譲渡するか

1つは、断念して廃業する。

もう1つは、今の勤務医先生の独立を説得して引き継いでもらう。

このように事業を引き継いでもらおうとすると、なんだか綱渡りをしているようにも感じられますが、

この第三者事業承継をお願いして感じるのはこの選択で私は安心してリタイアできるということです。

 

開業して何十年と経ちますと、病院建物も、医療器械も古くなってしまいますがそれでここを受け継いでくれというのは無茶な話でしょう。

子供や親族、第三者に引き継いでもらいたいなら、自分のできる範囲で器械などは新しいものを導入しておくべきです。

ある程度の年齢になってくると引退まであと数年だから、これから設備投資しても無駄だと考えがちですが、

それでは残る選択肢は廃業だけになってしまいます。

 

開業して成長して、衰退し始めたらそのまま廃業させてしまう院長が80%近くもいると聞いています。

院長がやめてしまうのは簡単ですが廃業で患者さんやスタッフはどうなるのかまで意識してもらいたいです。

 

また、周りに動物病院がたくさんあると思いますがなぜ自分の動物病院に患者さんが来てくれているのかを考えてみてください。

それは、「他の病院には行きたくないから」です。

 

個人の病院だからやめるのも自由だと思われていたならそれは自分勝手な考えだと言わざるをえません。

私は廃業はやめさせたいと思っていますので、語気が強くなってしまいましたが、

この事業承継を活用すれば、院長と患者さんの双方にとって最良の結果になるのだと思います。

 

完全リタイアしても病院に残る院長

渋沢動物愛護病院 川口知明院長(当時)(神奈川県秦野市)

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