動物病院 の院長と若い獣医師の意識のギャップ

公開日:2019年10月12日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

動物病院 の院長と若い獣医師の間に存在する意識のギャップ

動物病院 の獣医師間の意識のギャップとは?

動物病院の院長と若い勤務獣医師との意識ギャップはそんなにもあるものなのでしょうか。

匿名院長: 病院を新しく、大きくすれば、若い勤務医はすぐにでも来てくれました。

勤務医は、学校では成績優秀で、知識や情報をたくさん持っています。

この年代の特徴なのでしょうか、受験戦争の弊害なのでしょうか、多くの知識や情報を憶えていれば自分は他者よりも優れていると捉えていますが、我々の年代・50歳代後半では、知識や情報は「ツール」に過ぎないと捉えています。

そのツールを使って自分が行動して、周りの人たちから自分が評価を受ける。

こうして病院が流行ったり、流行らなかったりするものだと考えてきたのですが、若者はどうも違うようです。

「自分で自分を評価する」、「他者が自分を評価する」

という点で大きな世代間ギャップが存在します。

 

では、仕事はきちんとするかと言えば、そうではありません。

「嫌だ」「できない」と平気で言います。にも関わらず、

給与は上げろと要求してくる。

他者に自分が何ができるのだろうかを考えない、自分がやってもらえることしか考えていない。

これでは一緒に働こうという気にはなりません。

本来はこういう人間をきちんと育てて行くか、この病院に不必要な人間としてリストラするか、そんな気持ちがあれば、その後の人間関係のトラブルはなかったのだろうと思います。

動物病院の経営の辛さとは?

一般企業でも、会社が成長して拡大している時が「いい時」と外見的には映りますが、

実は経営者にとっては、会社が大きくなった分、借金が増えてその返済で四苦八苦している。

その時が1番苦しかったという方がおられます。

これは動物病院の経営でも同じことが言えるのでしょうか。

 

匿名院長: そうですね。

大病院になったのはいいですが、その時の私は、獣医師ではなく、社長の仕事をするだけになっていました。

今にして思えば、それは大きな間違いでした。

 

現場から離れないで若者の勤務医の陣頭に立たねばならないのに「自由にやっていいよ」と任せてしまったのです。

どんどん病院が大きくなって、外見的には私は成功している獣医師であるとみえていたかもしれませんが、

日々考えていたのは、「きっちりとお金を回すこと」だけでした。

動物病院の経営は皿回しのよう?

病院経営とは、例えるなら、「皿回し」です。1人で小さなお皿を回しているうちはいいのですが、その皿を大きくしたくなる。

皿を大きくしたら、太い棒に変えて、1人では回せなくなっていきます。

しかし、この棒、1人で回すよりも何人かで回す方が大変になってしまうのです。

お皿の回転とは収益ですから、回すのを止めると下がってしまう。

そしてお皿を大きくすればするほど、ただ回すことだけで精一杯になってしまいます。

 

今、大病院に行けば、高度医療の器械が入っていますが、「多額の請求が来たので驚いた」という飼い主さんの話をよく聞きます。

大病院を維持するため、買った医療機器の費用を払うためにどんどん高度医療をして、

高額負担を飼い主さんに求める。

これはいかがなものかと思います。

「高度医療を受けたら、その患者さんと家族は幸せになるのだろうか」

この点をもう一度、考えて頂きたいと思います。

ポイントは何のための動物病院かを考えること

短期間でこの業界は成長してきましたから人間の倫理観が希薄なのでしょうか。

これはこれからの課題です。

幸せのために存在するのが病院だと思います。

それは動物であろうと、人間であろうと同じはずですが、今はどうもお金のためが最優先されているように感じられます。

 

5年間かけて事業承継し、新たに病院を立ち上げた院長

匿名院長(兵庫)

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