獣医療 における総合診療と専門診療

公開日:2019年09月05日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

獣医療 の総合診療と専門診療について

動物病院の事業承継について

この事業承継は欧米では当たり前に行われていることでしたので、私は普通に受けとめました。

日本では親子間や親族間での承継の方が当たり前なのでしょうが、私の父親はオランダの船会社のビジネスマンだったので獣医師ではありません。

 

私が獣医師になりたいと言い出した時に反対されませんでしたので、私も子供たちには「獣医師になれ」とは一言も言ったことはありません。

なりたくなれば自分から言うだろうと思っていますが、獣医師という仕事は日進月歩で変化する仕事ですので、子供が絶対に継がねばならないこともないでしょう。

動物病院は飼い主さん目線で考えることが重要

私がこだわったのは、誰に継がせるかではなく、いかにしてこの病院を続けて行くかで、飼い主さんに対するケア―のためでした。

動物病院は地域医療のため、飼い主さん、患者さんのためにあるのであって、院長が勝手に判断してやめられるものではありませんから、引き継いでくれる第三者がいることはとても有難いことです。

そしてこの事業承継のお陰で、私は「耳専門動物病院」を新たにスタートさせることができました。

総合診療と専門診療について

総合診療はいつまでも続ける必要はないと考えていました。

総合診療を続けながらでは、関心、興味を持った「耳」については深めたくとも時間的な制約があるので、できる範囲でしかやれませんでした。

「耳」については実は学問としては奥深くて、ヒトの「耳科学会」などに出席すると大変勉強になります。

年齢的にはそろそろリタイア後を考える世代ですが、むしろ私はこれからが本当にやりたかったことができると考えています。

 

いろんな患者さんが来られて難しい症例がありますが、どう対処するかを学ぶことに生き甲斐を感じてやっています。

こうして生き甲斐が感じられるのは、気分も体力も充実しているのは好きなことをしているからでしょう。

自分の得意とすることが社会の中で活かせるのはこの上のない喜びですから。

この事業承継を知らなければ、おそらくは、総合診療をそのまま続けていたでしょう。

飼い主さんをそのまま放ってはおけませんから。

しかし、自分が思うような診療ができないと日増しにフラストレーションはたまっていったでしょう。

 

流行っている動物病院の院長先生のなかには、私と同じように感じておられる方も少なくないと思います。

1つ1ついい仕事ができているかと言えば、そうではありません。

患者さんが多いのは有難いですが、自分が満足のいく仕事にはなっていない。

私はこの第三者事業承継で総合病院を譲って、自分のやりたいことをやる道を選びました。

利益追求も大事ですが、自分の人生がそれだけで終わってしまうのはどうかと考えた時、事業を譲って好きなことに特化する道を選びました。

決断と行動は早いほど良い

日本の場合は80%が承継者のいない場合にそのまま廃業してしまうと聞いていますが、これはなんとかしなければならないことだと思います。

承継者は子供だけではなく、第三者から選べばいいし、承継後のリタイアについてもいろいろと選択肢はあります。

なければ、私のように作ればいい。

決断と行動は早ければ早いほどいい。

これは経験者としてぜひとも強調しておきたいことです。

この承継によってやっと自分ができることができるようになった。

生き甲斐をもってこれからの人生を送れるのも、この承継のおかげです。

 

動物病院は「公器」。院長が勝手に辞められるものではない

リタイアするなら、決断は早ければ早いほどいい

どうぶつ耳科専門クリニック主の枝 杉村肇院長(兵庫県洲本市)

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