「耳と皮膚」専門の 動物病院 を設立した理由
日本初の耳診療の 動物病院
米国には「耳と皮膚」の専門病院はありますが、日本では私が初めてでしょう。
私が動物の耳診療について関心を持ち出したのは、忙しく総合診療している中で、難しい中耳炎の症例が出てくるようになったことがきっかけでした。
これまで通りのことをしていてもなかなか治りにくい。
「どうすればいいのか」と思っていたところ、アメリカの文献で、『アメリカではワンちゃんは全身麻酔をして鼓膜を切開して中耳炎などを治療している』ことを知りました。
そして実際にやってみたら、結構、良くなっていく。この時から耳に関心を持ち、ヒトの医科大学における「耳科学」などの学びを通して、もっと勉強して専門性を高めたいという気持ちになりました。
動物の耳に関心を持って気づいたこと
耳に関心を持つと、今までなんとも思わなかったことに気が付くようになります。
その1つは、「表情」です。
動物たちは言葉では気分を表現できませんが、その表情にあらわれます。
耳治療をすると、麻酔をかけたにも関わらず、終わった後の方がスッキリとして、表情が明るく元気になります。
明らかに術前と術後では違います。
こんな様子をみていると、ワンちゃんにとってこれは「タダ事ではなかった」ことに気付かされました。
「耳を気にしている行動をとっている」ことはタダ事ではないことのシグナルです。
アニメで「後ろ足で耳をかいているワンちゃん」がよく出て来ますが、これは、犬としては明らかにおかしな行動で、耳を患っているからなのです。
今日では家族の一員として家の中で飼われているワンちゃんがほとんどです。
そのためか、飼い主さんが「なんだかやたらと耳を気にしているので連れてきました」という人が圧倒的に多いです。
耳は脳につながっていますから、耳の炎症を放っておくと、実は「中枢性前庭疾患」になってしまうことがあります。
こうなると、予後が厳しいのです。
ワンちゃんが耳を気にしているのは、実は大事なシグナルを送っていることなのだと警鐘を鳴らして行くことも私の役目なのかもしれません。
「耳」に関心がいくと、犬の表情から異常に気付くようになる
どうぶつ耳科専門クリニック主の枝 杉村肇院長(兵庫県洲本市)
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