なぜ私は早期に動物病院を譲って リタイア できたのか?
日本人の平均寿命は過去最高を更新して、2018年は男性は「81.09歳」、女性は「87.26歳」(厚生労働省調査)となった。
これで、サラリーマンや公務員にとって、定年が65歳まで伸びたとはいえ、15年から25年間の「老後」と呼ばれる期間が生まれた。
これは、かつての時代を生きた人たちにはなかった、人類初の出来事である。
しかし今日の日本でこれは、「老後問題」として捉えられている。
その理由は、この第2の人生をどう生きるべきかの答えが見つからないからである。
言い換えれば、老後が問題となるのは、自分が現役時代に何も準備してこなかったことの付け回しでもある。
その中で、この事業承継で現役時代を早々とリタイアしていかれた元院長がいる。
なぜ早期に病院を譲ろうと思ったのかの動機から、現在取り組んでいること、これからやろうしていることなどを伺ったが、みなさんに共通していることは、リタイアして以降の方が元気でワクワクされていて、日々を楽しんでおられることである。
事業承継によるリタイアで自分が望む人生を可能にしている人たちの生の声をご紹介する。
動物病院の獣医師のリタイアを意識したのは何歳?
私がリタイアを意識し始めたのは、60歳を過ぎた頃でしょうか。
「モチベーションの低下」が辞めようと思った、一番大きな理由です。
院長としての仕事のレベルを維持するためには、日々の勉強を怠ってはいけません。ある時、勉強しようという意欲が湧かなくなった。
これはショックでしたね。
体力的にも限界が来ているなと感じていたから、そんな時に頭をよぎるのは、「私もそろそろ引き際かな」という思いです。
もちろん、売上げは下降線でもいいから仕事を続けることも選択肢としてはありましたが、続けて行こうという意欲すら湧かなくなっていたのです。
悪い事は重なるもので、丁度その頃、腰を悪くしてしまいました。
これがリタイアのきっかけになってしまいました。
この病院を引き継いでくれる先生がいたらいいなと思って事業承継をお願いしました。
第三者に動物病院を譲るメリットもある
私にもいろんなリタイアの選択肢はありました。
例えば、女性の勤務医がいましたので、その先生に病院の実務は任せて、私は自分がやりたい時間だけ勤務するといった方法もできなくはなかったのだと思います。
承継は、家族であったり、親族であったり、勤務医に譲ることが多いようですが、私はあえてそうはしませんでした。
その理由は、「週に3日間でも病院に出るとなると辞めたことになるのだろうか」とか、「実務を任せるとは言っても、院長として責任を取る立場にいることには変わらない」と思えてしまって、心理的負担は何ら変わらない。
それならば第三者に動物病院を譲ってしまえば、私は動物病院から完全に離れられると考えたからです。
体力とモチベーションの低下が引退のきっかけに
コスゲ動物病院 小菅理隆・前院長(神奈川県藤沢市)
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