動物病院の承継で 患者 さん離れるのか?

公開日:2019年08月07日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

動物病院の承継で 患者 さん離れるのか?

動物病院を承継して院長が代わることで懸念されるのは、患者さんが他の動物病院に行ってしまうのではないかということですが、私のケースではほとんどいませんでした。

動物病院の 患者 さんが離れなかった理由

高齢の先生から若い先生にバトンタッチすることでどんな反応があるかと危惧しましたが、逆に「良かった」と言ってくれる飼い主さんがほとんどでしたので、安心しました。

飼い主さんにとって、行っている馴染みの病院を変えるのは不安みたいで、私の病院は週1回の休みがあるのですが、「その日は他の獣医師先生のところに行ってみてください」と言うと「嫌だ」とか、「診療費用が分からないから行きたくない」という答えが返ってきます。

これも前院長先生が真面目にやってこられたからこその財産です。

飼い主さんが前院長先生を信頼していたことがこういうことから伝わってきます。

また、このことから新規開業で新たに患者さんを獲得していくことがいかに難しいかも分かります。

動物病院の承継開業のメリットはどこにあるのか?

この承継のメリットは、

第一には、「ゼロからのスタートではない」という点ですが、

私の場合は承継してそう期間もない中で新たに場所を移転しなければならないほどに患者さんの数が増えていることです。

そしてもう1つのメリットは前院長先生の影響力のおかげで、獣医師会に入れたことです。

周辺の病院とのコミュニケーション、関係性も前院長先生から引き継げることもこの承継のメリットだと感じました。

 

さらには、スタッフを引き継げたことです。

長年勤めているスタッフがいると、飼い主さんは安心します。

院長も、スタッフも、100%代わってしまうと、病院の雰囲気も診療スタイルも変わってしまって、飼い主さんは不安に感じてしまう。

やはり以前とは変わらない雰囲気などを望まれているので、スタッフが残ってくれると助かります。

承継開業した獣医師が考える今後

また、自分が引退する時にもこの事業承継を利用してハッピーリタイアできるようにしたいと考えています。

廃業すると、医療器械を処分するにも費用がかかりますし、このテナントを原状復帰で戻さないといけないとなると、その費用も大変です。

承継だと、費用がかからずに、逆に契約金や賃貸料などが入ってきます。

お金をかけて廃業するよりも、お金をもらって「はいどうぞ」と譲る方がいい。

 

私の人生設計としては、60歳前後くらいでリタイアできればいいなと考えています。

「この仕事で一生終えよう」とは考えていません。

もっともっと他のこともやってみて、人生を楽しみたいと思っていますから。

 

「事業承継でスタートして、事業承継で終わる」。

承継を経験した先生なら当然考えることでしょうが、こうした開業とリタイアのあり様はこれからの獣医師の生き方になるのではないかと思います。

承継スタートの先生が今後増えてくることに期待したいです。

 

院長の交代で他の動物病院に行く患者はほとんどいなかった

匿名院長(神奈川県)

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