動物病院の 勤務医 から 開業 へと気持ちが動いた理由
勤務医だった時の獣医師生活
まず私の経歴からお話しますと、最初は三鷹にある本院・ライオン動物病院の勤務医でした。
平成13年に本院の加藤院長先生が分院としてこのレオ動物病院を作ります。
その時が、私の人生の1つの分岐点となります。
そのまま勤務医を続けて分院長となるか、または、ここでやめて独立開業するか。
しかし、この時は院長からいい条件を頂いたので、「このまま勤務医を続けていくのもいいか」と思い、レオ動物病院の分院長になりました。
「1つの病院を任された」ことで、この時は満足しました。
この時の分院は世田谷のペットショップ内に入っているタイプの動物病院で、当時としては画期的な発想でした。
ここを1人でやっていましたが、転機は2年半後にやってきました。
動物病院の 開業 に至った転機とは?
このペットショップの売れ行きが落ちてきたのです。
ショップ内の病院ですから、どうしてもショップの売れ行きに左右されてしまいます。
「このまま続けていてもうまくいかないだろう」との判断で、調布国領に移転することになりました。
移転してからも私は分院長として10年間働いてきましたが、この間もずっと勤務医のままでいいと思ってきました。
私は病院内でじっとしているよりも、往診で外に出かける方が好きなので、「往診の形でやるなら1人で独立できるかも」と軽い気持ちで院長先生に「独立したいのですが」とお話したこともありましたが。
独立したい気持ちがあっても、勤務医は院長先生から残ってくれと言われたら仕方なく残る人が多くいます。
私は軽い気持ちが独立を考えたこともありましたが、それが強い思いに変わってきたのは、50歳代、60歳代、そして定年後のことを考えたからです。
このまま勤務医を続けていればどうなるのか。
勤務医のままでいれば、定年後には何も残らないのではないのか。
退職金があったにしても、その後の生活はそれだけでは厳しいのではないか。
そこから開業するにしてももうパワーが残っているかどうか、わからない。
また獣医師という仕事は他の職種に転職しようにもなかなか難しい職業である。
自分があと10年、20年でこの年代に手が届くようになって、定年後を意識した時に「このまま勤務医を続けていたら」という気持ちに初めてなりました。
それならば、一国一城の主になった方が将来は安泰ではないのかとようやく気付いたという感じです。
自分だけの特別な理由があったから動物病院の開業を考えた
子供・家族のこと
私は今年43歳になりますが、開業するには遅すぎる年です。それでも「今しかない」と思ったのは、子供のことを考えたからです。
今は小学生ですが、これから受験があります。
中学3年生になる頃までには自分の仕事を安定させていなければならない。
となると、決断するのは今しかないと思いました。
この決断がちょっとでも遅れると、それは自分だけではなくて、子供の将来にまで関係してきますから。
周囲の友人のこと
そしてもう1つ、決断させた要因は周りの友達です。年に1回は友達と会う機会を作っていますが、同期の友達で早々と独立している人もいます。
私は勤務医ですから、のほほんとしてよく遊びにも行っていましたが、独立した人は苦労していました。
金使いも私は勤務医ですからパッと使いますが、独立すればそうはいかない。
この時は勤務医の方がいいなと思っていたのですが、だんだんと逆転してきて、その差がどんどん拡がっていきます。
回転寿司に行っても、「今日はここまで」と言っていたのが、「もう回転寿司には行かない」とか。
これは将来的には独立開業した方がいいのではと考え方が変わった大きな要因になりました。
動物病院の勤務医と独立開業の違い
将来の保証があるかないか
勤務医で居続けることと独立開業することの違いがどこにあるかですが、
第1は、将来の保障があるかなきかです。
「獣医師は国家資格で、取ったら一生が保障されている」と一般には思われているかもしれませんが、勤務医は院長から「ダメ」と言われたら、そこで終わります。
獣医師と言えども、勤務医であるなら、それは一般のサラリーマンとなんら変わりはありません。
会社組織になった動物病院ならば、一般会社と同じようにリストラもあり得ます。また、定年もあります。
運良く60歳、65歳まで働けたとしても、その後はと考えたら、私は不安になりました。
そこで独立すれば、自分の頑張り次第で将来は保障できる、安心できると考えました。
これは一番大きな違いだと思います。
自分で決定することができる
第2は、自分の思いで決められることです。
この病院はここ2、3年、伸び悩んでいました。
私はこの状態を脱するには、「人を入れるしかない」と考えていましたが、勤務医ならこれは自分の意思ではどうにもなりません。
「こうした方がいいのでは」と思ってもできないことが積り積って独立する行動になったのでしょう。
自分で決定できるかどうかも大きな違いです。
「勤務医を続ける」から独立開業へと気持ちが動いた理由は?
レオ動物病院 山本剛史院長(東京都調布市)
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