動物病院の 事業承継 の実体験

公開日:2019年07月15日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

動物病院の 事業承継 (承継開業)の実体験

動物病院の 事業承継 の感想

Q: 動物病院の事業承継が終わって、これまでを振り返ってどんな感想をもたれたでしょうか。

中川前院長: 事業承継をすると、「最終的にはお金になる」というポイントがあります。前院長には、譲渡金という形でお金が入ってきます。

そして、新院長には、その日から患者さんが来る。

引き継いだ後も、勤務医は残ってくれていますが、その人が「中川動物病院の副院長だった」としてこの帯広で看板を出したとして、うちの患者さんがついていくかと言うと、そうではありません。

やはり、カルテのある行きつけの病院に行きます。

「お金が承継開業した当日から入ってくる」のはこれから院長としてスタートする人には大きなメリットになるでしょう。

 

今日は手続きの上で一区切りをついた時でもありますので、少し、私の思いをお伝えしておきたいと思います。

 

私がやってきた時代は、借金を背負っても、新しく建物を建てても、右肩上がりの経済成長だから、やってこられました。

しかし、これからは経営環境ががらりと変わります。

そこで門先生に一言いうと、元院長は確かにハッピーリタイアできます。病院を譲ってお金が入ってくるから。

しかし、新院長は、決してハッピースタートになるとは思ってはいけません。

お金の面ではメリットはあるでしょうが、新院長として自分のカラーをどう出すかは承継開業ゆえに背負わなければならない課題になるからです。

動物病院の承継開業で新院長が背負うものとは?

この帯広であちこちに新たに動物病院ができても、中川動物病院がなぜ維持出来てきたかと言えば、

私のキャラクターがあり、勤務医が自分のカラーを足しながらやってきたことで、患者さんの信頼を得て来たからです。

 

そこに新しいオーナー院長がやってきて、「これからは私のやり方でやります」といきなり言われたら、まずはスタッフが戸惑います。

スタッフが戸惑えば、患者さんが戸惑うことになります。

さらには、「今度の院長、私には合わないんだけれど」と勤務医に話したりする可能性もあります。

新院長でオーナーだからといって、自分のカラーの出し方には気配りが必要だと思うのが、この承継開業でスタートした先生の課題でしょう。

オーナー院長としてやる以上、自分のカラーは絶対に必要です。生涯の仕事としていくわけですから。

しかし、いきなり切り替えると、マイナスになります。

パランスをとることが大事でしょうね。

こういう話をする機会ももうないでしょうから、ぜひお話しておきたいと思いました。

 

門新院長: はい、しっかりと頭に入っています。

 

中川: 親ならいろんなことを言うでしょう。

だから、息子から「くどいよ、親爺」と言われる。

親は子どもが何も言わなくても、心配したり、いろんなことを言ってくれたりしますが、他人はそうではありません。

もうここで病院を譲ったから、後はどうなろうと知らないという人もいます。

全ては動物病院の患者さんのため

しかし、私が厳しいことでもここで言っておきたいのは、

「私が大事にしてきたのは、患者さん」です。

この動物病院を譲るのは、新院長がここの患者さんの信頼を得られて、そして北海道十勝のなかで「中川動物病院は院長が代わってもいい仕事をしてくれますね」と言ってもらえるようになってほしい。

そこまでいって、本当はこの事業承継による引き継ぎがようやく終わったと言えるのでしょう。

 

新院長には承継開業だから背負わなければならない課題がある

北海等帯広市 中川動物病院  中川光義・前院長  門淳志・新院長

 

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