動物病院事業を100年間行うために必要な3つのこと
動物病院は親子や親族への承継が難しくなっていることもあり、「一代限り」と考えている院長が増えているため、廃業で病院を閉じる形となっている。
これは、非常に残念なことである。
一般企業も、競争、淘汰が激しいために「寿命30年」と言われている一方で、100年を超える老舗企業が多いのも、この日本の特徴である。
100年を超えるとなると、避けては通れないのが、「後継者問題」である。
そこで企業を100年残そうと取り組まれている、TOMAコンサルタンツグループの藤間代表に、
そのノウハウについて特別取材した。
自分が育ててきた会社、病院を廃業することの意味することは何か?
Q: 藤間代表はこの後継者問題についてどう捉えられておられますか。
藤間代表:子供や親族が継いでくれるのが一番いいのでしょうが、これが一番の問題になっています。
そのため、企業を100年残そうと思うと、後継者はそれ以外の第三者から選ばなければなりません。
創業家から離れて社員が引き継ぐ「MBO」と、他の会社に売却してしまう「M&A」
との2つのパターンがあります。
日本でもこうした手段を講じなければならなくなったのは、子供が親の仕事に興味を持たなくなってきているからです。
一言で言えば、「子供に対する教育」です。
子供が動物病院を継ぐということ
Q:現在、子供が獣医科大学に行っているのは、全病院の2割程度です。
これは獣医科大学が医学部並みに難しくなっているからですが、国家資格を取らせて継がせても、息子、娘が病院を大きく伸ばすというよりも、逆に衰退させてしまう病院もあります。
獣医師は医療技術や人間性が問われる職業ですから、子供が親と同じ能力を持っているとは限らないからです。
動物病院は、子供や親族が承継しなければ、そのまま、「廃業」してしまいますが、この廃業を食い止めて次につなげるのが、事業承継の役割だと思います。
藤間代表は、廃業と事業承継についてどう考えておられますか。
動物病院は歯科医院と似ている?
藤間代表: 獣医師先生は歯医者さんと似ていますね。当社では歯医者さんのM&Aのコンサルサポートをしていますが、歯医者さんも、獣医師先生も、新規開業が多いという点では同じです。
場所を借りて、医療器械は全部買わないと開業できません。それで患者さんがその日から来るかと言えば、何の保証もありません。
そこでご提案しているのが、M&Aでの開業です。今ある歯科医院を承継することで開業する。
すでに医療器械はありますし、患者さんもいます。
新規開業にはないメリットが承継開業にはありますから、この承継開業の方が得ですよと勧めています。
どの歯医者さんも、これまで病院経営を続けてきたという実績をもっています。
子供が継がないからといってこのまま終わらせてしまうよりは、開業したい第三者は一杯いるのですから、引き継いでもらう方がいい。
そこで我々コンサルタントの出番があるわけですが、「後継者のいない医院」と「開業したい第三者」とをつなげていくことで新たなチャンスが生まれると思っています。
そして廃業、会社で言えば倒産ですが、後継者がいないことでこの道を選んでしまう経営者がいますが、そこで、自分が育ててきた会社や病院を終わらせてしまうことの意味を考えて頂きたいと申し上げたい。
それは、「自分がこれまで生きてきたことの証しを自分で無くそうとしている行為である」ということです。
100年間事業を残すために、必要な3つの要素とは
TOMAコンサルタンツグループ代表取締役 藤間秋男氏
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