獣医師が考える 動物病院 の承継開業と新規開業

公開日:2019年06月19日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

獣医師が考える 動物病院 の承継開業と新規開業について

動物病院 を承継開業するしかなかった?

Q: 承継開業するしかなかったとのことですが、その理由は何だったのでしょうか。

伊藤院長: 新規開業する場合は、やはりマーケティングをして、「全く獣医師がいないところで、ある程度、犬を飼っている地域」というのがベストなんでしょうが、

そんな地域は日本の中にはありません。

開業するとなると、必ず競合する病院が周辺にはあることになります。

 

また、新規では自由に自分の好きな場所が選べると言いますが、「ここがいい」という場所が空いているとは限りませんし、コンビニ等の「居抜き物件」も、運次第かもしれません。

今ある動物病院は、立地とか、患者さんとかをわかった上で建っています。

これは、スタートラインからしてまるで違うと思いました。

 

やはりマイナーな動物病院の承継開業

Q: 伊藤先生の周りでこの事業承継で開業された先生はおられますか。

また、周りの先生方の反応はどうだったでしょうか。

 

伊藤院長: 承継開業した先生は、私の周りにはいませんね。

新規開業した先生ばかりですが、私が病院を引き継いだ後に訪ねて来られて、

「めちゃ、広いね」「めちゃ、きれい」、「まだ数ヶ月なのに、患者さん、こんなに来るんだ」

と驚いていましたね。

「新規の1年目とはまるで違う」という反応でした。

この承継開業だといきなり大病院をもつところからスタートできるので、

「これはいいね」と知り合いの先生からは言われました。

この事業承継がまだまだ知られていないのも事実なので、ここに訪ねて来た先生は私がこの病院を引き継げた理由を知っていますが、そうでない先生には不思議な事が起きたと捉えられているかもしれません。

動物病院の承継開業で想定外だったこととは?

Q: 承継開業されてから、伊藤先生が想定外だと思われたことは何か、ありましたか。

伊藤院長: 承継した後にしかわからないことはいくつかあるでしょうが、私が想定外だと思ったのは患者さんが初日から来るので、セミナーや勉強会には行きにくくなったことです。

大学では講義をする立場だったので、自分が勉強することを常としてきました。

それが承継後は、勉強会に出ようとすると、病院を閉めないといけないとか急患や入院の子がいると、申し込んだ勉強会に行けないこともあります。

承継開業では、引き継いだ後にセミナーや勉強会に出て、知識を拡げたり、スキルを伸ばしたりという機会がもてなくなるかもしれません。

それは仕事が忙しいからで、贅沢な悩みかもしれませんが、承継開業したいのであればそれまでの間にしっかりとスキルをアップさせておくことが大事でしょう。

私はもう1人の勤務医先生をヘッドハンティングできたので、これは問題ではなくなってきています。

獣医学生は動物病院の開業方法について知っている?

Q: 学生さんはこういう事業承継という開業方法があることは知らないでしょうか。

伊藤院長: 知らないでしょう。大学の先生も、開業方法まで教えることはないので、学生は知らないでしょうね。

ただ、学生でも、「知っておくこと」でしょう。

それは、新規以外しか開業方法を知らない人とは、スタートラインから違ってくるからです。

わかりやすく言えば、新規開業と比べて、5年間くらいの時間が稼げるということです。

つまりは、5年後の売り上げが初年度からあるわけで、私のように大志をもっているなら、承継開業の方が自分の目標の近道になるのです。

 

今ある動物病院は、立地や患者さんをわかった上で建っている

愛知県碧南市  バル動物クリニック 伊藤祐典院長

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