動物病院の 廃業 の選択・そんな方に事業承継のススメ

公開日:2019年06月03日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

動物病院の 廃業 の選択・事業承継のメリット

事業承継とは、なにか。一言で言えば、「今ある動物病院を若い勤務医に譲ることで、院長はハッピーリタイア、勤務医は新院長としてハッピースタートになる仕組み」と言えるでしょう。廃業を検討している院長はぜひお読みください。

そこで、承継でリタイアされた元院長に、動物病院を譲ろうと決意した本当の理由から、リタイア後の生活などについてお伺いしました。

☆動物病院は当初は「自分のもの」という意識でしたが、「自分1人で動いているのではない」と思って承継を決意しました

動物病院を廃業するその前に?

最初は動物病院を廃業しようと思っていました。色々と考えるのが面倒で、閉めてしまう方が楽だと思っていました。

ポンとやめてしまうと無責任かなとも思いますが、自分が病気になったり、突然亡くなったりすることもあるわけですから、それも仕方がないことかなと思っていたのです。

 

この考えが変わったのは毎年院長宛てに送られて来る、メディカルプラザの小冊子「動物病院の事業承継を考える」をみたことです。

事業承継という方法で第三者に動物病院を譲ることのメリット、デメリットが書かれていました。

 

すぐにメディカルプラザに連絡をとると「ぜひとも承継で残した方が良い」と言われて、

事業承継によって、この動物病院も、スタッフさんも、患者さんも、承継者へと引き継ぐことができることを知りました。

この事業承継を知らないうちは廃業以外のことが思い浮かびませんでしたが、

初めて事業承継の話を聞いて「これはいいな」と、第一印象で思いました。

 

最初、ポンとここでやめてしまってもいいと思っていたのは私たち夫婦には子供がいなかったためで、夫婦2人だけならば質素に生活すればいいと考えていたからです。

もし子供がいたら、50代でリタイアすることはできないでしょう。

60歳、65歳まで頑張るんだろうなと思いますね。

動物病院は院長だけのものではないと気付いた

病院に自分の名を付けていると「この病院は自分のもの」という意識になりがちです。

私も開業当初は「自分のもの」という意識でしたがスタッフを雇い、患者さんが増えてくると気付くことがあります。

それは、

「動物病院は自分(院長)1人で動いているわけではない」、

「動物病院は、自分(院長)1人だけのものではない」

ということです。

院長とは皆のために頑張ってこの動物病院を経営していくのが役目だと気付いたのです。

だから、この事業承継の話を聞いた時に、みんなが働けて給与がもらえる場が残せるならば有り難いと思えました。

 

ただ自分の心の中では、ここでやめるのには負い目を感じています。

それは、患者さんに対して最後まで面倒を見られないという点においてですがそう言っていたら、いつまでも経ってもやめられなくなってしまいますね。

 

動物病院の事業承継者を選ぶポイントは?

私がこの動物病院の承継者として選んだのは、女性の勤務医先生でした。

選ぶ時に一番重要視したのは、やはり人柄でした。

そして、

1、患者さんに対して、きちんとしたコミュニケーションができるかどうか

2、この仕事に対して熱意とか、情熱を持っているかどうか

といった、2つのポイントでした。

この2つは、一緒に働いてみないとわかりません。

今回、その勤務医先生に継いでもらって、非常に安堵しています。

 

女性の勤務医について言えばやはり30歳代が一番気持ちが揺れ動く時でしょう。

勤務医を続けて行くのもきつい。給与を考えれば、続けられないと思うが、将来が保障されているわけではない。

いい院長に巡り会えれば、そこからチャンスがあるかもしれないが、それが30歳半ばになると、給与は上がらなくなるし、転職もできない。

そのため、その前に他の業界や公務員に転職してしまうのは残念ですね。

 

私は20歳代で開業したから気持ちが揺らぐことなく、ここまで来られたのだと思います。

開業せずにそのまま30歳を迎えていたら、どうなっていただろうかと思います。

 

勢いだけでは開業できませんが、勢いがないと開業はできません。

 

その決断を自分がいかにするのかですが、

そこで1つ、大事なことは、

「情報収集」です。

20代で学校を出て、それから勤務医として働いている間にとにかく色んな人と会って話を聞いておくことです。

今にして振り返れば私は開業して、周りにいい仲間達がいたから、これまで何十年と院長を続けてこられたのだと思います。

これから頑張っていこうという思いを同じくする仲間がいたから、互いに助けあって苦しい時を乗り越えられたのです。

 

今の勤務医先生に自分の経験からアドバイスできることがあるとすれば、

「人との出会いでご縁ができているかどうかも大事なポイントですよ」

ということです。

動物病院の仕事は自分1人では動かない仕事です。

そして、自分が困った時、自分が何かを頼みたい時、周りに引き受けてくれる先生がいると、こんなに有り難いことはありません。

私はこの横浜磯子で開業できてラッキーだと思っています。

それは、ここの先生方は皆フレンドリーにお付き合いをしてくださいました。

新院長には、私のこれまでの人脈も含めて承継していきます。

 

神奈川県横浜市 アン動物病院 坂田充古 元院長

 

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