動物病院の 事業承継 をした院長の口コミ

公開日:2019年05月27日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

動物病院の事業承継とは、なにか。〜院長の口コミ〜

一言で言えば「今ある動物病院を若い勤務医に譲ることで、院長はハッピーリタイア、勤務医は新院長としてハッピースタートになる仕組み」と言えるでしょう。

そこで、承継でリタイアされた元院長に動物病院を譲ろうと決意した本当の理由からリタイア後の生活などについてお伺いしました。

動物病院の院長をリタイアした後の生活

まずは院長をリタイアした後の生活からお話しましょう。

現在は週に2日間だけ病院に出て診療をしていますが、あとの5日間は基本的にフリーなので、趣味の乗馬クラブにしっかりと通えています。

この乗馬は現役の頃からの趣味ですが、朝6時半くらいにクラブに行って馬に乗ってから、それから病院に行くのが現役時代の生活でしたが今では普通の時間に行って乗れますから。

少し遠くの乗馬クラブに替えたこともありますが1週間のうち、2日が病院、3日がクラブと決まっていて、毎日何らかの予定が入っていて、とにかく家には居ません。

病院勤務を週2日間にしたのは、週に3日出ると、引退した感じがしないだろうと考えたからです。

 

このように生活がまるで変わったこともあるのですが1番感じているのは、「ようやく肩の荷が降ろせた」ということでしょうか。

 

週に2日間だけの病院勤務も「しゃあ、お先に」と言って帰れる。

これは院長時代ではまずできませんから、精神的に楽になれました。

今までの生活

これまでは夫婦でこの病院をやってきましたが背負っていたものがなくなると、こんなにも違うものかと思いますね。

承継していたのとしていなかったのとでは、随分私の人生は違っていたでしょう。

 

承継していなければ今もクタクタになりながら、自分の時間も持つこともできずに、毎日仕事だけの生活が続いていたことでしょう。

少なくとも65歳までは働かないといけないと思っていたので、この事業承継で「できた5年間」は貴重です。

65歳になってから、好きな乗馬ができるかと言えば、そうではないかもしれない。

健康年齢、健康寿命というのは大事です。自分の身体が動けるうちに自分がやりたいこと、好きなことができる。

だから今、馬と居れる時間が十分につくれるので、これはうれしい。

 

しっかり仕事をしてきたからこそ、リタイアできた獣医師の仕事はおそらくは普通のサラリーマン、公務員の倍以上は人生で働いているでしょう。

平均して1日12時間以上が普通だし、泊まりもあり、夜中の手術、診療ありで、休日も少ない。

その少ない休日で旅行に行って、例えば、海岸でのんびりしている時でも、携帯電話が鳴りますからね。

「先生、どうしたらいいでしょうか」と。

 

休めていないのが、獣医師という職業。この重圧感からリタイアして初めて解放されたことに気付きました。

「おお、こんなに楽になるのか」という感じです。

手術しても、「あと、よろしくね」で帰れる。これは最高ですね。

 

これまでしっかりと仕事をしてきたからこそ、こうしてリタイアできたのだろうと思います。

 

最初は何も無いところからスタートして、これまでずっとマラソンをしてきた感じです。

獣医師として動物たちのことを考えてきて、馬に乗ることが唯一の楽しみにしてきました。現役時代には親戚の冠婚葬祭も失礼するしかなかったですから。

土日も診療でしたから、「申し訳ない。仕事で行けない」と。この事業承継で親戚付き合いもきちんとできるようになりました。

事業承継で動物病院を譲る決断

次に、この事業承継で自分の動物病院を譲る決断をした経緯についてお話しましょう。それまで、家内から「あなた、いつまでやるの?」と聞かれることはよくありました。

その時も、「そんなこと、わからないよ」と言って、院長を続けてきました。

 

そして1つのきっかけとなったのが、代診の先生の契約期間が切れる時期がやってきたことです。

「これからどうするの」と代診の先生に聞くと、

「最初の約束どおり、ここで辞めます」と言うので、

次の代診を探さなければならなくなりました。

 

そんな時、事業承継のコンサルタント会社・メディカルプラザから小冊子が届いていたことを思い出した。

若い獣医師を探すのなら、代診を探すよりも、いっそのこと、新院長になってくれる承継者を探した方がいいと思いました。

 

かなり仕事で疲れていたのでしょう。

「このあたりでもういいかな」という感じになりました。

これがリタイアのきっかけでしょうね。

 

朝から夜まで仕事をし続けて、それで病気になってそのままこの動物病院を閉めることになるのは嫌でした。

身体を壊してやめるよりは、リタイアして人生を楽しむ時間をつくりたいと思いました。

実は親が内科の開業医で80歳まで仕事をした人でした。「開業医ならその年齢まで仕事ができるんだ」という思い込みがありましたので、

リタイアもまだまだ先のことという意識でいたのですが、メディカルプラザさんの小冊子をみたタイミングがたまたま合ったということでしょうか。

 

振り返ってみれば、人間の内科の開業医と違って、獣医師は動物たちの生死と常に向き合っています。

「孫よりもかわいい」なんて言われるから、そのプレッシャーは人間の内科の開業医とは比べ物にならないですね。

 

☆院長リタイアで初めて気付いた、獣医師という仕事の「重圧感」

千葉いすみ市 平岩動物病院 平岩厚志元院長

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