前回、お伝えしたのは「これから、動物病院業界は秋から冬の時代に入っていく」ということで、「その時期は、2020年から始まり、2028年頃には氷河期状態に入って行く」という、統計データに基づく予測です。
そこで今回は、どのようにしてこの氷河期に備えればいいのかを考えてみたいと思います。経営を考える獣医師に必要な経営者感覚はこちらから
これからの動物病院の 経営 に必要なTIPS
毎年9月に東京赤坂・ホテルニューオータニで行われている「日本臨床獣医学フォーラム年次大会・JVBP」に参加した方ならわかるでしょうが、講演、講習や展示は、医療のスキルや器械に関するものばかりです。
経営に関する講演は、2、3件程度しかありません。
つまりこれは、医療技術さえ優れれば、この先も十分やっていけると考えている獣医師が多いからだと思います。
しかし、これからは違います。
医療技術のUPは当然のこと。そこに病院経営者としての「経営者感覚」が問われる時代に入っていきます。こののサイトは、獣医師のために「経営」を学べる場を作りたいというのが、開設の狙いです。
さて、これからの寒冷化、氷河期に備えるために動物病院の経営はどうすればいいのでしょうか。
1:情報収集
1つ目には、《経営や経済についての勉強会に出て、これからの経済状況の変化などについて情報を集めること》です。
最先端の医療技術を学ぶために日々の業務の時間を割いて、交通費を払って遠路、参加する先生は大勢いますが、
経営、経済について関心がある獣医師はまだまだ少数派です。
氷河期に入るとこの動物病院はいい病院とそうでない病院とに二極化されていくとこれまでも述べてきましたが、
その差がどこで出てくるのかはまさにこの経営、経済の知識、スキル、ノウハウがあるか否かにあるのです。
2:動物病院の経営方針
2つ目は、病院の経営方針を今のうちに転換していくことです。
成長性重視から収益性重視の経営方針へ
動物病院の経営環境が寒冷化、氷河期に入っていく中で、どのような対処を獣医師はすべきなのかについてまず第1には、経営・経済についての勉強会等に出て、知識、意識を広げていくことを提言しました。自分の動物病院を取り巻く環境がこれからどうなっていくのかそのためにどうすればいいのかはこの経営・経済を知ることでみえてくるからです。
そして2つ目は、これまでの病院の経営方針を転換することです。
全国で2000人以上の院長と直接会って承継開業のコンサルタントをされているメディカルプラザの西川芳彦社長によると「経営方針として、成長性を重要視している院長が大半ですね。収益性に重点を置いている院長はわずかでしかありません」という。
総務省の「経済センサス」が示すとおり、2009年までは犬の頭数が増えて来たので、病院を拡大すれば、その分、病院の成長性はUPしたはずです。しかし、これから犬の頭数、高齢犬の数が減って行くことで経営環境ががらりと変わってしまうのですから、
成長性は望めなくなっていきます。現在の売上が落ちたとき、どうするのか。
そのため、収益性を重視して経営基盤をより強固にしていくための方針転換が必要になってきます。
国家資格:弁護士の場合
獣医師の未来をみる上で、他の国家資格、弁護士の事情をご紹介しておきます。
不況になると、会社への就職が厳しくなるので、資格試験受験者が増えます。法曹人口は国の方針・司法制度改革で、司法試験の合格者を2007年から毎年2000人超えとなりました。
そのために、法曹人口が増えて、若手を中心に「食えない弁護士」が急増しているといいます。
【新人弁護士「年収100万円でファミレスバイト掛け持ち」貧困の実態(週刊ダイヤモンド)】
この雑誌のタイトルは、衝撃的です。
弁護士の数が増えすぎたために、事務所に雇ってもらう「イソ弁」にもなれず、30歳前半で即独立する「ソクドク」せざるを得なくなっているといいます。
これでは弁護士としてのスキルも身に付かない。弱者を救うはずの弁護士が「経済的弱者」になっている時代だとこの記事は指摘しています。
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