動物病院はペット市場の変化のみならず、患者さんからのクレームで獣医師が精神的ダメージを受けるケースや勤務医・スタッフ共に採用難が増えているケースなど、ヒトのマネジメントが必要な時代に入っています。
そこで、「対外的な対策」と「病院内の対策」と、取り組んでこれらた先生方のノウハウをご紹介します。
動物病院の法的リスクマネジメント
Q: 近年、ヒトの病院では、理不尽な要求や暴力・暴言を繰り返す患者が「モンスター患者」と呼ばれていますが、この動物病院でも、ペットを我が子同然に思っているヒトが増えていますので、
強烈なクレームを言ってこられる飼主さんが増えていると聞きます。
そのトラブルが金銭で解決できるならいいのですが、
院長や勤務医が精神疾患になってしまったりするケースもあるようです。
そこで、この会のこれまでの相談事例からお聞かせください。
春日弁護士: 事例には2通りありまして、
法律相談・交渉で解決するものと、調停・裁判が必要になるものとがあります。
弁護士として最初に聞くのは、
「亡くなった原因」です。
つまりは、医療ミスがあったか、なかったかです。
明らかに医療ミスと認識している場合は、「示談金を払って謝罪する」ようにアドバイスします。
しかし、問題となるのは、ミスはしていない場合です。
トラブルになるケースは、原因不明で亡くなってしまった場合が多いです。
「謝罪に来い」と言われる場合がありますが、この場合は、「絶対に1人では行ってはいけない」とアドバイスします。
1人で行くと、謝罪するか、いくら払うかを約束しないかぎり、家に帰してもらえなくなる場合があるからです。
どうしても行くという場合には、「2人以上で、お花を持って行ってください」とアドバイスします。
ただ、相手から「来い」と言われた場合、弁護士としては「行かないでください」とアドバイスするのが基本です。
相手から脅されている場合、これは「警察案件」ですから、「110番通報してください」とアドバイスします。
それでもクレームが続くような場合は、私たち弁護士が間に入って、獣医師本人には直接接触できないようにしてしまいます。
このJAMLAS(ジャムラス)のメンバーには、「すでにトラブルになっている場合に院長や担当獣医師さんが相手宅に謝罪に行くのは絶対にやめてください」とお願いしています。
【参照】日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)
日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)会長、元院長、獣医師 山村 穂積先生
弁護士 春日 秀文先生
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