動物病院の価格設定|地方都市の匿名院長

公開日:2019年05月01日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

「こんな時代に値上げなんて」と思われるかもしれませんが、値下げ競争は、過当競争を生んで互いに潰し合うという結果にしかなりません。

ここでは、自分では値上げができないので他者に病院を事業承継した院長の話を紹介します。

 

これからは「値上げ」も必要な時代。ただ私はできないから、事業承継で譲る決断をしました。

私の動物病院は、大阪のベットタウンとして新たに作られた街で開業しました。そのため、値段設定では、ある事情がありました。

それは、ここの住民たちは6000万円とか、7000万円で家を買った人たちであることです。

「サラリーマンの収入で、住宅ローンや子育て、教育費にお金がかかる中で、ペットにどれだけのお金が使えるのだろうか」

と考えました。

「そう高くは設定できない」。

そこで私は「良心的な値段」という言葉を思いつきこのニュータウンに住む人たちの経済環境から支払える額を設定してきました。

 

その後、私は事業承継で動物病院を他者に譲る決断をしましたが、

そのきっかけは、2つの理由がありました。

 

1つは膀胱ガンがみつかって、医師から「全摘出」を聞かされた時、今までと同じようには仕事ができないと思ったことです。

 

もう1つはスタッフがベテランになってくると、給与を上げないわけにもいかなくなります。私は経営方針として「良心的値段」を患者さんには約束してきましたから、

この人件費問題が出て来ても、患者さんにその負担を回すことができませんでした。

それなら、

若い先生に譲ったなら、患者さんも納得してもらえるのではと考えました。

 

これからは「値上げ」が必要な時代に入っているとは感じてきましたが、

私はやりたくはない。

そろそろ私の時代も終わりかなと感じたので、承継による引退を決断しました。

 

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