経営コンサルタントが考える値下げの弊害
値下げ、安売りをすることは一体どんな結果を引き起こすのか。多くの会社の経営コンサルタントを引き受けておられる、石原明先生に安売りの危険性についてお伺いしました。
☆値下げは産業構造全体を破壊する。客単価UPが当たり前になれば、社会全体が活性化する
まず、値下げをするとどんなことが起きるのかをみていきましょう。
私はこれまでの自分の経験から、値下げについては3つの考え方を持っています。
1、値下げは、最悪の経営手法である
2、値下げは、産業構造全体を破壊する
3、値下げで起きる最大の問題は経営者が現場を離れられなくなることである
値下げは、最悪の経営手法
まず1番目の「最悪の経営手法である」という点ですが、
私は、値下げするということは、
「自分が手がけているビジネス・商品・サービスに自信がない証拠である」と捉えています。
経営者は本来、自分の仕事には自信を持っているはずなのですが、不況になると、途端に弱気になって、値下げに走ってしまいます。
例えば、1個100円のまんじゅう。原価は70円とすると、30円の利益が出ます。
これを値下げで80円で売ると、消費者は喜ぶでしょうが、
利益は10円になってしまいます。
20円の値下げで、利益は3分の1に落ちます。
これで同じ利益を出そうとすると、3倍売らなければならなくなるのです。
一方、逆に30円値上げした場合、利益は30円+30円となって、60円になります。
値下げして売った場合の利益と比較すれば、実に6倍もの差が出てしまうのです。
産業構造全体を破壊するパターン
また、この値下げを大企業がやった場合はどうなるでしょうか。
大企業は自分の利益は守りますから、そのしわ寄せは、下請けや取引先が被ることになります。
大手1社が値下げすると、他の大企業も追随します。この状態が続くと、大企業だけは良くて、下請け、取引先はとんでもない状態になってしまう。
この点で、
2番目の「値下げは、産業構造全体を破壊する」結果となってしまうのです。
経営者が現場を離れられなくなること
さらに、値下げによってより多くを売らなければならなくなることで、経営者が現場を離れなくなります。
本来、経営者がやるべき重要な仕事とは「会社の未来をつくること」です。
日々の業務の忙しさで、
将来に布石を打つことを怠ってしまうと、新しい発想もビジネスも生まれて来なくなってしまいます。
これらが値下げで起きる大きな弊害です。
日本経営教育研究所 代表
僖績経営理舎株式会社 代表取締役 石原 明 先生
コメントを残す