動物病院の経営|診療価格の 値下げ の恐怖

公開日:2019年04月21日
この記事はメディカルプラザが制作・監修した「サクセッション - 獣医師向け動物病院の承継開業の情報サイト」上で連載された記事を本サイトへ移行したものとなります。

動物病院の診療価格の値下げの恐怖

《値下げ競争は動物病院同士の潰し合いにしかならない》

売上が落ちると院長は値下げで患者を増やそうとしますがそれはいい結果にはならないことを前回述べましたが、今回は、病院の将来を見極める上での最重要ポイントをみていきます。

動物病院の経営方針の転換期

この最重要ポイントとは、

《実は動物病院の勝負は現時点で決まってきている》

という点です。

これはどういう意味なのでしょうか。つまりは、「価格は高いけれども、良い獣医療を提供する病院になる」ことを目指して経営方針の転換をしているか否かです。

「安くて良い獣医療を提供することが獣医師の使命である」と考えられている院長の方が日本では多いでしょう。

これは30年前の米国でも同じでした。今では米国の客単価は日本よりもはるかに高いことは知られていますが、30年前は日本と同じ発想の院長が大半だったのです。

それが変わってしまったのには、何があったのでしょうか。

米国獣医療コンサルタントの話を紹介しましょう。

アメリカの動物病院の診療価格

「米国でも以前は安くて良い獣医療を提供することが獣医師の使命だという考え方がありましたが、ある獣医師のリーダーが『良い獣医療であることの証しが高い客単価であるから、獣医師は高い客単価を目指すべきではないか』と主張し始めました。

この主張は大きな批判にさらされることなく、受け入れられていって、この時から『客単価の高い獣医師は質の高い医療を提供している』という意識に多くの獣医師が変わって行ったということです」

良い獣医療を提供して、客単価を上げて行く努力をしているか否か?

あなたがお勤めの病院はどっちですか。

他の業界の値下げで起こったこと

「価格を引き上げることなどできるはずがない」と考えられている院長が一定数います。

しかし、今の段階で客単価を上げる努力をしていないと、これから何が起きるのかは火を見るより明らかです。

他の業界を例に説明しましょう。

デフレ経済が進行してモノが売れなくなった時、デフレ長者として台頭して来たのは、低価格を武器にする企業でした。

ユニクロ、マクドナルド、吉野家など。

ハンバーガーが90円とか、牛丼が290円とか。

この低価格競争が何を生んだのかは、今になってみれば、わかるはずです。

従業員・バイトの給与が上げられず、ブラック企業化。バイトが辞めて、次が見つからないので、人手不足。

価格が変化しつつある

しかし、今ではこれらの企業の価格帯はどうなっているでしょうか。

買い手が納得できる適正価格に戻るよりも、より付加価値を付けて高くなっています。バイト代も、都内では1000円を越える額になっています。

動物病院業界での売り上げの下落は?

この動物病院業界でも、売上の下落が目立つようになれば、なんとかしようと価格競争で生き残ろうとする病院も出て来るでしょう。

それは結果として

「売上減 → 価格引き下げ → 給与減 → リストラ → さらなる経営難」

という、マイナススパイラルに入っていくことを意味しています。

では、どうすれば、客単価を引き上げて経営の安定化が図れるのでしょうか。

動物病院の経営の安定化を図るためには?

1番は院長が値上げを決断できるかどうかですが《院長が代わることで値上げを患者様が納得しやすくなる》ということがあるようです。

「事業承継で開業された院長のほぼ100%が客単価UPに成功、90%以上が売上UPに成功しているというデータがあります(承継開業コンサルタント・西川芳彦氏)」

院長が若手に代わることはすなわち、借金を抱えてスタートすることになるし、病院の改装をしたり、診療方針が変わるので、患者に値上げを説明しやすくなるというのです。

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