動物病院を廃業する理由とは?
在勤務医で開業を目指している先生のなかで「リタイアはまだまだ先のことなので今から考える必要性は無い」と思われている先生が大半ではないかと思います。
しかし、臨床獣医師の世界は、サラリーマンや公務員とは違います。
それは、
《獣医師として成功して繁盛病院になればなるほど、体力、気力がきつくなってくる》
《人事面での苦労が大きくなっている》からです。
人事面での苦労
この院長が抱える《人事面での苦労》とは、
1、若い勤務医、看護師が売り手市場であることから人手不足が激化していること
2、人材の売り手市場が強くなっていることで、院長の発言力が弱くなり、院長が勤務医・看護師に気を遣う面が増えている
という、大きく分けて2つの苦労があります。
事業承継でリタイアする院長が40代、50代で半分以上を占めているのは、この人事面での苦労が理由です。
そこで、新規開業院長と承継開業院長とでは、人生の送り方がどのように違うのでしょうか。
新規開業した院長は大半が自分の体力が続く限り仕事をされて、最後は「廃業」して獣医師人生を終えます。
現在は「事業承継」が広く知られていないこともあって、引退する8割以上の病院が廃業しています。
日本の動物病院の廃業が多い理由とは?
なぜこんなにも日本の動物病院に廃業が多いのかと言えば米国に比べて日本は売上が低い動物病院が多いからです。売上が低ければ、買い手には魅力とは映りません。売上が低いために半分以上の動物病院が承継できずに、廃業するしかなくなっているのです。
それでも「生涯現役で働けたのだから、幸せではないか」と考えられるかもしれません。
しかし、この場合の問題点は、「サラリーマン、公務員並みの退職金や年金がとれない」ことです。また、廃業に伴い、器械等の処分に費用が掛かります。
動物病院を譲った後の獣医師の選択肢
一方、「廃業」の他に、「事業承継によるリタイア」という選択肢を知っている院長は「身体の異変を感じた時」「これ以上気力が続かなくなった時」などにリタイアを決断されます。
今の動物病院を若い獣医師に譲った後、院長の人生の選択肢は3つに分かれます。
1、院長、獣医師から完全リタイアする
2、院長はリタイアして、獣医師として仕事を続ける
3、院長、獣医師はリタイアするが、経営者として残る
獣医師がリタイアする時の年齢による考え方の差
この選択肢はリタイアする年齢によって違いが出てきます。
完全リタイアの選択をされる院長は、60歳以降の先生で、「やり残したことはない」「もう悔いはない」とおっしゃいます。
また、40代、50代で承継リタイアされる院長は、院長は辞めて獣医師として好きな事だけをして生きていきたいとおっしゃいます。
友達の病院を手伝うとか、ピンチヒッター獣医師として働くとか、現役を続ける選択をされます。
また、院長、獣医師をリタイアして、今度は病院の経営者・オーナーとして活躍される先生もおられます。
もちろん、自分の動物病院を若い獣医師に譲ることでの譲渡代金や不動産代金、または家賃などがリタイア後も収入として入ってくることになります。
【廃業せずに事業承継で早めにリタイアすることで、獣医師としての選択肢が増えて来るのです。】
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