知っておきたい獣医業界の未来「 ペットフード 業界はこれからの10年間をこうみている」
獣医師が知っておきたい ペットフード の市場
犬の頭数減少でマイナス影響を受けるのは、ペットショップや動物病院だけではありません。ペットフード業界の影響を調査データからみますとペットフードの出荷量が完全に落ちてきています。
ただ、金額ベースでみると、それほど落ちているわけではありません。
ペットフードの市場を分析
なぜでしょうか。
その理由は各社が努力して、より付加価値の高い商品開発をして売上を伸ばして来ているからです。
日本の特徴|小型犬への高付加価値
日本では、人間が高齢化してきていることもあって、飼う犬の大きさがだんだんと小さくなってきています。
大型犬と小型犬とでは、食べる量には圧倒的違いがあります。
そのため、ペットフードの出荷量は減っていますが、小型犬への高付加価値商品の消費が逆に伸びています。
猫用フードの新商品
またペットフード業界でのもう1つの努力は、猫用の新商品の開発です。
犬中心で、ドライフード中心でやってきた会社はすでに厳しい状況になってきています。
これからのペットフードの市場
ペットフード協会の調査をもとに、これからの犬の減少についてみていきましょう。
ピーク時は、2008年の1310万頭でした。それが2014年には、971万頭と1000万を切り、2017年には、892万頭になっています。
これからもこの減少には歯止めがかからず、2024年には、700万頭前後にまで落ち込んでしまうと予想しています。
犬の頭数がこれだけ減れば、ペットフード業界でもマイナス影響を受ける会社が出て来ると思いますが、ペットフード協会としては、犬の数をできるだけ減らさないための努力をし続けて行きたいと考えています。
動物病院のこれからについてはこちらの記事でも解説しています。
犬の頭数が減っているのは日本だけ
「女性の社会進出が増えると、猫を飼うヒトが増える」と言われています。
なぜでしょうか。
それは、「猫は犬に比べて世話がかからないから」です。
世界的に見ても、猫は増えています。ただ猫が増えても、獣医師先生にはグッドニュースにはなりません。
犬に比べて、猫の来院数は少ないからです。犬は年平均4.1回は動物病院に連れてきますが、猫は2.3回です。
また、犬の頭数についてみれば、減っているのは、日本だけです。その理由がどこにあるのか、お分かりでしょうか。
ペットフード協会もその理由を知りたくていろいろと調べました。その結果として、「動物愛護管理法の2005年の法改正に原因がある」ことがわかりました。
動物愛護管理法の改正の結果
当時は「悪徳ブリーダー」が社会問題化していた時で、環境省はこの悪徳プリーダー排除のためにこの動物愛護管理法の改正に踏み切りました。
しかし、環境省が想定していなかった結果が出てしまいます。
悪徳ブリーダーのみならず、正規でやっていたブリーダーやホビーブリーダーの数まで激減させてしまったのです。
この悪影響が「川下産業」であるペットフード業界や動物病院業界に及んでくるのは、これからになるでしょう。
ペットフード協会としては、環境省に詳しく調べたデータを届けて、このブリーダー規制を再検討するように働きかけています。この規制が改善されない限り、犬の頭数はどんどん減り続けていくことになります。
一般社団法人ペットフード協会 石山恒会長にインタビューさせていただきました。
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