高齢犬の数の推移から考える動物病院の経営
獣医科大学生、勤務医、そして全国の現役院長の多くは 「犬の頭数が減少している」ことはすでにご存知ですが 案外、気付かれていないのが「高齢犬の数の推移」です。
犬の頭数が減っているのに、病院の売上はなぜ減らない?
犬の数が減り始めて10数年経ちますが【病院の経営、売上にはなぜ変化がないのか?】を疑問に思う獣医師は、私の知る限りあまりいません。
動物病院の経営を支える高齢犬
この理由は、高齢犬に目を向けるとわかります。ヒトの病院でも高齢者が増えて医療費が多く使われるようになっていますが、動物病院も今の経営を支えているのは、「医療費がかかる高齢犬が増えて来たから」です。
2017年からは高齢犬が減少している
しかし、高齢犬の数は2017年からすでに減少トレンドに入っています。減っているとの実感を持っていない院長が大半でしょうが、2020年を過ぎる頃には誰もが実感できるくらいになってきます。
西川の予測では、「2030年にはピーク時の2017年比で半分程度(54.6%)まで、その数は減ってしまう」と計算しています。
検査や手術の必要性の高い高齢犬の数が減ってくることで動物病院経営は大きなダメージを受けることになるでしょう。
高齢犬減少で動物病院の売上が減るとどうなるのか?
では、多くの院長が売上減少を経験することによって、どのようなことが起きてくると予想できるでしょうか。
1つ目の戦略|安売り
まず考えられるのは「安売りで患者さんを増やそうとする動物病院が増える」ことです。
これはいい戦略ではありません。
スーパーマーケット、家電量販店などの他業界でも起きていますが、安売りは大競争を生んで、結果的には利益が確保できずに互いに潰し合うことになってしまいます。
そのため、西川は「今のうちから客単価を引き上げて収益重視の経営体質に転換しておくことが大事である」と提言してきました。
2つ目の戦略|ブランド
もう1つは「その地域のブランド病院と新規参入の病院とでは、勝負にならないくらいの圧倒的差が生まれて来る」ということです。
つまりは、地域のブランド病院とは、患者様からの信頼と実績で現在のブランド病院としての地位を築いて来たわけですから。
これは勤務医から独立する時点で新規開業スタートか、承継開業スタートかですでに決定的な差がついていることを意味しています。その地域のブランド病院を譲り受けるのがこの承継開業だからです。
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