【実際の獣医師の声】動物病院の承継開業は 地方 にチャンスが?
勤務医が開業するのに「 地方 にチャンスがある」は本当か?
これから高齢犬の数が減少していくことで新規開業と承継開業ではスタート時点から売り上げ面などでのちがいがはっきりと出てくることになりますが、
首都圏と地方の差とは?
もう1つ、大きなちがいがあります。それは、首都圏と地方との差です。
勤務医の多くは、人口が増えている都市部なら開業しても大丈夫と考えているでしょうが、今の首都圏での開業件数は日本全体の6割を占めるほどに集中しています。
これは過当競争が激しくなるというより、患者を取り合って潰し合う、淘汰の時代に入ることを意味しています。
では、地方はというとどうでしょうか。これから顕著になってくる現象は、《有名ブランド病院に患者が集中して来ることで、病院の格差、二極化がはっきりしていく》と考えられます。
この承継開業であれば、地方のブランド病院が承継者を探しています。ゆえに、「勤務医が地方に意識を向けると、それはチャンスにつながる」と言えるのですが、
実際にはどうなのでしょうか?
東京から新幹線で1時間の距離にある地方都市で承継開業された院長にインタビューしました。
地方に行くと手術は「やれる」ではなく「やらねばならなくなる」
2016年の首都圏の新設開業件数が「246件」だという数字を知って、これは大変な事態が起きているなと思いました。日本全国の6割が首都圏で開業していることになるのです。先生はこの数字をご存知でしたか。
いいえ、私もこの数字を聞いて、ビックリしました。首都圏でこれだけ新設開業が増えているのは、人口がどんどん増えて活気があるから、ここで開業すればうまくいくと考えている勤務医が多いからなのでしょうか。
そうです。首都圏、特に東京なら成功できるだろうという「成功神話」が未だにあるからでしょう。また、首都圏に集中しているのは、勤務医時代に結婚する先生が増えていまして、奥様が地方に行くのは嫌だというので首都圏でやむを得ず開業するというケースが増えているからでもあります。
首都圏では人の数は増えていますが、犬の数はどうなのでしょうか。
人口は東京一極集中していますが、犬の頭数は全国的に減り続けていきます。
ということは、首都圏では犬は減り続けるのに、病院数は増え続けることになるのでしょうか。
そうです。すでに過当競争が始まっており、売上不振で倒産する病院も出始めています。しかし一方で、地方では小動物のみならず、大動物、公務員と、獣医師が足りない状況です。先生は首都圏で勤務されていましたが、承継を依頼される勤務医からよく聞くのは「スキルを伸ばそうにも、手術は院長が全部やってしまって、自分は雑用しか回ってこない」といった話です。先生の場合はいかがでしたか。
私が勤務していた首都圏の病院も、手術はほとんど院長がしてしまう病院でした。これでは、いくら勤務医を続けても自分のスキルはアップしません。そのため、私は地方での承継開業を決断しました。
地方で動物病院を承継開業した際の首都圏との違い
地方で実際に承継開業された後はどんな違いがありましたか。
地方ではいろんな症例の患者が来ます。勤務医時代と違って、これらの症例を全部自分でできるようになるのですが、地方では「やれる」というよりも、「やらねばならなくなる」と言った方がいいでしょう。難しい症例は都市部では専門病院に回したりできますが、ここではそこまでの専門性を求めていない患者さんもいますので、難しい症例であっても全部自分がやらねばならなくなるからです。
地方に行くと、セミナーや勉強会になかなか参加できなくなると言われますが、この点はどうですか。
私も地方都市で承継したので、最初は「行けなくなるのかな」と思っていました。しかし、最近ではネットでセミナーや勉強会が動画配信されています。地方から東京等でのセミナーに出ようとすると、これまでは病院を休診にしなければ行けませんでしたが、ネット配信ですから、空いた時間をみつけて勉強できるようになっています。
また、気になる点は動画を何度も見直して確認できる点も、大きな利点だと思っています。わざわざ時間を作って、交通費を掛けてということもなくなり、このIT技術のおかけで、地方でも十分に勉強できる環境にあると思います。
ネットの力で都市部と地方の差がどんどんなくなってきているのにはビックリしました。ただ先生方がセミナーや勉強会に参加されるのは、症例があってその知識が活かされるからであって、これから症例数が減っていく首都圏ではいくら勉強してもその知識が活かされなくなってしまいます。
根本はここですね。症例があっても勉強ですね。
実際に動物病院の承継開業をした獣医師の声がありますのでこちらをあわせてお読みください。
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