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【家庭・家族】家族関係がうまくいけば、すべてうまくいく

IFB(家族・結婚研究所)代表、臨床心理士博士
丸屋 真也 先生

Q1 丸屋先生は離婚にならないための夫婦・家族関係をアドバイスされておられます。今の日本の離婚の状況からお教えください。

カウンセラーに相談に行きますと、「別れることを前提にどうしたら損をしない別れ方をするか」から話が始まります。また、弁護士さんも同じです。現在の日本は離婚が増えるような文化になってきていると言わざるをえません。

 

 

Q2 残念ながら動物病院の院長は非常に離婚率が高いのですが、改善できるかどうかのポイントをお教えください。

日本人の場合、結婚式を挙げるまでは2人一緒に頑張る。結婚式を終えた途端に、夫は仕事だけをして、家庭の一切合切は妻に任せてしまう。それでもいいのですが、要は、互いの意思疎通がとれているかどうかです。
 ほとんどの夫たちは妻がやってくれるのが当たり前と考えて、妻を「1人の人間」としてみることができなくなっているのではないでしょうか。
 私はカウンセラーとして「パートナーシップが大事である」ことをお伝えしています。このパートナーシップとは、お互いが同等であるということです。

 

 

Q3 なぜ日本の家庭や家族がバラバラになったのでしょうか。

近年の日本の特徴の1つとして「孤独死」があります。家族がいるにも関わらず、放っておかれて、孤独死として発見される。これにはどんな意味があるのでしょうか。  そこで感じるのは、社会の最小単位は「家族」です。言い換えれば、家庭は社会の一部です。しかし、家庭に社会性が薄くなっています。
 これは、「核家族化」と「少子化」が原因です。
 昔は、大家族が当たり前でした。子供達は大家族のタテとヨコの社会で「社会性」を身に付けました。それが戦後になって核家族化で、親と子しかいない家庭になり、家庭内でも個室が当たり前で、家族同士での関係、つながりももてないままで大人になる。
 平成日本で起きている「少子化」、「高齢化」とか、「介護」といったことがなぜ問題になるのかと言えば、家庭や家族関係が壊れているからです。
 夫婦関係にしても、家族関係にしても、互いが本気で向き合うことなしに改善できることはありえません。これは、ハッキリと言い切れます。つまりは、同等のコミュニケーションができるようにすることです。

 

 

仕事人間になってしまうと

 

 

Q4 離婚が多いのは、働き方に大きな要因があるのでしょうか。

日本人の場合、男性はまず自分がしっかりと働いて家族を養わなければならないと考えてしまいます。そのために1日は仕事オンリーになってしまって、家にはただ眠るために帰ることになってしまいます。がんばらないといけないと考えて、仕事人間、会社人間になろうとしますが、それでは家族関係をこわすことになりかねません。
 「休めない」と言うのは、「自分が休めないように働いているから」です。仕事がうまくいっている時ほど、自分を止められない。その間に夫婦関係や家族関係は冷めているかもしれません。そこでタイムマネジメントをすると、自分が無駄な時間を使っていることに気付くし、部下に任せられるところは任せば、時間をつくることもできます。
 「やれません」、「そんなことは無理です」と言うのは、最初からやろうという気持ちがない。要は、意識を変えない限り、ダメです。

 

 

Q5 いい夫婦関係になるためには、どうすればいいのでしょうか。

どんな夫婦も「親密」な関係になりたいと思うでしょうが、結婚したら自然と親密になれるわけではありません。  夫婦が親密であるというのは、「共有部分」があるからです。この共有部分を増やして行かないと、この親密さは生まれません。例えば、「おいしい」と聞けば、「おいしいよ」と答える。辛い思いをしたら、「それは大変だったね」と答える。これが互いの気持ちを共有すること、共感になります。
 では、どうすれば親密になれるのでしょうか。
 その根底には、互いが精神的、情緒的に安定していることが必要です。お互いが不安である、落ち込んでいる、考え方が混乱しているような状態で、共感、共有するのは難しい。「親密」をピラミッドの頂点とするならば、土台になるのがこの「精神的安定」です。情緒が安定してくると、会話が生まれます。次に来るのが、「コミュニケーション」です。  それでもまだ「親密さ」を感じるところまでには及びません。
 コミュニケーションを通じて夫婦間に生じる不一致を解消する必要があります。これを「不一致管理」と言います。
 夫婦とは、お互いの違いがあって当然です。男女という違いもあれば、これまで育って来た環境も違います。同じものを食べても「おいしい」と感じるかどうかも違うでしょうし、子供の教育をどうするのかでも意見が違うのが普通です。この不一致を互いが満足のいくように解決していくのが大事なことです。

 

 

Q6 コミュニケーションが非常に大事だということでしょうか。

そうです。このコミュニケーション力は、夫婦間のみならず、家族、仕事、社会など、あらゆる場面で関連してきます。夫婦間での会話がよければ、仕事にもすごくプラスになります。
 例えば、お医者さんにおいても、患者さんとのコミュニケーション力が重要視されてきています。これまでならパソコンをみながら「じゃあ、この薬を出しておきましょう」で診療は済んだのですが、今では患者ときちんと向き合うことが大事になってきています。
 この点は、獣医師先生と同じではないでしょうか。

 

 

夫婦共に獣医師の場合は

 

 

Q7 獣医師の場合、夫婦共に同じ病院で働いていることが多く、共通の話題は仕事のこととなるのでしょうが、それも、夫婦として親密さをつくることにつながるのでしょうか。

もちろんです。夫婦が共にやっている自営業なら、仕事と生活と共有部分が拡がります。仕事で互いが信頼し合う関係であれば、それはすごくいい夫婦関係にもなります。
 しかし、仕事がうまくいっていないと、仕事の問題が夫婦関係にも影響し、家庭内もうまくいかなくなるという、悪循環になってしまいます。
 夫婦関係で、「偽りの平和」と呼ばれる関係が
あります。テレビで「仮面夫婦」と言われる関係のことですが、表面上は何も無いようなふりをしている夫婦のことです。  例えば、問題が夫婦関係にあるのに、それを妻が仕事で不満を発散しているようなケースです。夫には、仕事に不満があるとしか映りません。妻が本当の原因が家庭にあることを言えばいいのですが、これでは不一致ばかりが生まれて、ついには仕事での喧嘩が絶えなくなっていく。当然ながら、会話、コミュニケーションも普通にできなくなって、ますます仕事の関係も、夫婦関係も冷めていくことになります。
 こういったケースでは、大事なのは、「仕事上のストレスマネジメントがきちんとできているか」です。獣医師の院長は自分がトップだから、どんな働き方をしていても、誰からも何も言われることはないでしょうから、このストレスマネジメントに気付くことは難しいかもしれません。
 精神的な安定とか、日々の生活、食事であるとか、睡眠であるとかがきちんとバランスをとることで、仕事も、家庭生活もうまくいく。このストレスマネジメントは、お医者さんとか他者から「こうしなさい」と言われてできるものではありません。自分で積極的、かつ能動的に取り組まないと身に付きません。つまりは、その人の人生観、生き方そのものだからです。

 

 

Q8 意見の不一致とか、考え方の違いがあると、そこであきらめる人が多いのではないかと思いますが、何かいい解決策があればお教えください。

「夫婦には不一致がある」ことをまず互いに受け入れていることが大事ですね。1人、1人の人間だから、意見の不一致や考え方の違いがあって当然なんだということを大前提にしてコミュニケーションをとっていくと、その結果は違うのではないかと思います。

 

 

Q9 今では、夫の親の介護、面倒が妻を悩ませていることがあります。この場合のアドバイスをお願いします。

これは獣医師さんでもあるのでしょうが、今は多くの家族が抱えている問題ではないでしょうか。妻が夫の親の介護をする。その夫が長男ならば、その病院を継ぐのだからと、弟や妹が居たとしても、長男の嫁に押し付けられてしまう。それで妻は疲れ果てて、うつになるケースとか、それで離婚を決意するケースとかがあります。
 この点について私は、「親を施設に入れなさい」とアドバイスしています。妻からは、「夫がダメだと言います」と返されますが、夫がダメだと言うのなら、「あなたが親の面倒をみればいいと言いなさい」と妻にアドバイスします。妻が私のところに相談に来るようなケースでは、「もう家を出ることを決心している」からです。
 夫には、「貴方の親だから自分でやらないとどうしようもなくなりますよ。奥さんはこの家から出て行くと言っています」とハッキリと伝えると、ようやく夫は本気になります。
 そして夫には、「弟や妹と相談しなさい」とアドバイスします。遠方に住んでいたとしても、自分の親の介護だから、子供達にはそれなりの役目を担ってもらう必要があります。
 さらには、外部から介護士に来てもらうことです。そのための介護保険制度です。使いましょう。
 妻がやってくれているから大丈夫ではなく、自分の親だから自分で、兄弟で面倒をみると思えば、いくらでも手立てはあると思います。その方が妻は喜んで協力してくれるでしょう。

 

 

Q10 よりよい夫婦関係を築くために、先生にメッセージを頂ければと思います。

まずは、夫婦の基本は「ギブアンドテイクだ」ということですね。これをわかっていないと、20年、30年と結婚生活が長くなると、「不公平だ」と感じるようになっていきます。夫婦の信頼関係をつくるのは、互いに「ギブアンドテイク」の関係であることを理解することですね。
 また、自宅にいる時、夫は妻に、妻は夫に気をつかっていますか。
 たいていの人は気をつかわないから家族なんだ、自宅なんだと思っていますが、それは真逆です。
 「夫婦の愛とは、相手に対して一番気をつかうことである」。
 私は、「一番休みたい、リラックスしたい自宅で相手に気をつかわないから、一番休めなくなるのですよ」とアドバイスしています。つまりは、自分が最大限、相手のために気をつかえば、相手も自分に気をつかってくれるようになる。これが一番リラックスできる場をつくるコツなのです。
 リラックスの後ろ側には、「わがまま」があります。人間はわがままで満たされることはありません。これは〈欲望の肥大化〉と言われますが、わがままはさらなるわがままを生んで行く。もっともっと、となるわけです。
 心から相手のために気をつかうことが「愛」である。この意識を転換すると、自分も相手も楽になります。そして最後にアドバイスすれば、気をつかうことで相手に見返りを求めないことです。求めると、「こんなに気をつかっているのに」となりますから。
 これらが夫婦関係を良くするためのエッセンスです。

 

本日は貴重な話を有難うございました。