インタビュー

Interview

承継開業インタビュー 病院譲渡インタビュー スペシャルインタビュー

譲渡成功インタビュー

事業承継によるリタイアを
予定している院長

匿名
匿名

自分のリタイア時期を何歳というようになかなか決められないものですが、先生は10年後と予定されていると聞きました。その予定を今回、1年後と早められた理由は何だったのでしょうか。

事業承継については今回が初めてではありません。55歳になった時に西川さんと出会って、承継の話を聞いて、分院をすでに譲渡しています。それから、「65歳を迎える10年後にこの本院も譲ってしまおう」といつしか考えるようになり、この件も西川さんに伝えました。リタイア時期を65歳としたのは格別の理由があったというわけではなく、世間並みにその頃が定年の時期かなと思ったからです。
しかし、その10年後の定年予定を早めなければならなくなりました。それは、家内が倒れたからです。家内とは幼馴染で、この病院も2人で大きくしてきました。
家内が倒れた時、私も同じ高血圧なので、いつ同じように倒れるかわからないことに気付かされました。
この病院を継ぐ人間を決めないままで私が倒れてしまえば、廃業の道を歩まざるを得なくなります。そうしないためにはどうするのか。分院の承継以来、西川さんとは何度も打ち合わせをしていますが、その度に、自分の本心が見えてきました。そして「本院も承継で第三者に譲渡してしまおう」と決断しました。この先、引き継いでくれる先生を決めていたら安心できますから。
そして西川さんのおかげで、今の副院長が継いでくれることになりました。こうしてこれから先もこの病院が続いていくことに満足しています。

 

分院をこの事業承継で譲渡されたとのことですが、分院があれば、本院を譲って自分はのんびりと診療するというリタイアもできたと思うのですが、分院を承継しようと思われたのはなぜでしょうか。

本院の他に、分院を増やしたのは、子供の誰かが継いでくれるだろうと考えたからです。
4人子供がいて、2人くらいは獣医師になってくれるだろうと期待したのですが、なかなか思い通りにはいかないものですね。4人ともに獣医師とは別の世界に進んだことで、この分院をもつ必要がなくなりました。そこで西川さんにお願いして、第三者に譲渡しました。
分院をもっていれば、本院を譲って自分は分院でのんびりできるという方法もあるとのお話ですが、この点について私はまったく意識しなかったです。
分院を譲って、これからこの本院も譲りますが、それで私は獣医師をやめてしまうわけではありません。
再度、獣医師としてスタートすべく、承継できる案件をさがしていただいています。そして、リタイア後はこの地を離れて、沖縄あたりの暖かい地方に行きたいと思っています。分院と本院ともに譲渡してしまうのは、これまでやってきた病院経営が、本来私が獣医師としてやりたかったこととはまるで違ってしまったからです。
「こんはずではなかったのに」と思ってきましたから、これから本院を譲ってしまえば、また私はプレーヤーとしてリスタートできるのではないかと思っています。 これまでも「仕事漬け」という生活ではなかったですが、これからはもっと自分らしく生きたいですね。
これからやりたいことは、「畑仕事」。いまでも家庭菜園はやっていますから、「半農、半獣医」というのが理想の生活ですね。これまでは自分が思っていた獣医師人生を歩んでこれませんでしたから、今度の承継でようやく自分の原点に戻れると思っています。一般的にリタイアは不安になるものだと聞いていましたが、私はこれまでできなかったことがようやくできるようになるのですから、1年後が楽しみですね。

 

分院と本院を承継して、先生はまた別のところで承継開業されるとのことですが、この事業承継を知って感じられたことは何だったのでしょうか。

この事業承継を知るまでは、「身体も弱ってきて、獣医師として本当にやりたかったこともできずに、惨めなかたちで終わっていくのかな」と思っていました。
周りからみれば、病院は本院のほかに分院をもつまでになったのだから成功した人生と映っていたかもしれませんが、本心から言えば、ここまで病院を大きくしたくはありませんでした。他に負けまいと売上ばかりを考えてきましたから、どんどん現場からは離れてしまいました。獣医師としては、まったく面白くない人生、ストレスでした。
しかし、この事業承継でまた現場復帰ができる。難しい手術を成功させた時のあの感動がまた蘇ってきます。野球で例えれば、逆転ホームランを打った時の、「やった」という満足感、充足感をまた味わいたいですね。
このままいけば廃業するしかないと思っていましたが、この事業承継で、「生涯現役でも」という自分の夢がかなうことになります。これも西川さんとのご縁ですから、有難いです。
また、この事業承継で改めて気付いたのは、カルテの大切さでした。
当院ではこれまでも患者さんが転院される場合には、カルテをコピーして渡していました。西川さんは承継のメリットとして、「建物、医療機械といったハードだけに目が行きがちですが、本当の価値はカルテやスタッフといったソフト面にあります」と仰っていた意味がよく分かりました。
考えてみれば、カルテは患者さんと病院との共有財産です。
「自分さえよければ」と廃業してしまえば、カルテはゴミになってしまいます。廃業せずに病院を第三者に譲れば、カルテも次の世代へと受け継がれていくことになります。患者さんとの共有財産であるカルテを次世代にバトンタッチしていくことも我々世代の院長には大事なお役目ではないでしょうか。