インタビュー

Interview

承継開業インタビュー 病院譲渡インタビュー スペシャルインタビュー

承継開業成功インタビュー

この承継開業で
スタートラインが違いました。

パル動物クリニック(愛知県)
伊藤 祐典 新院長

西川:大学の教員から臨床開業医になられたわけですが、承継開業から1年が経って、この事業承継について感じられたメリット、デメリットについて感想をお聞かせください。

そうですね。開業する時に一番心配になるのが、収入面だと思います。収収入に不安があるのは、承継も新規も変わらないのでしょうが、承継開業の場合は、引き継いだ当日から患者さんが来る点で、新規とは全く違うでしょうね。

ただ前の病院を引き継ぐかたちで開業しますから、難しいなと感じたのは、「元院長がこうやっていたから」と飼い主さんから言われることですね。私は大学の教員をしていたので、なるべくスタンダードな治療をまずはやっていくことを心掛けています。そこで飼い主さんとの意識のギャップが生まれてしまうことがあります。きちんとインフォームドコンセントをすることで、ある程度はクリアできると思いますが、私のやり方に合わない飼い主さんが出てくることはこの承継開業では避けられないことなのでしょう。

資金面で言えば、承継開業後に自分なりのことをやろうとすると、改装費とか、機械購入費とか、資金は必要になってきますから、「プラス1000万円」くらいは資金余裕をみておいた方がいいでしょうね。

 

西川:伊藤先生の強みは、何と言っても、「腫瘍」「がん」の専門家である点ですが、承継されて以降、「腫瘍」「がん」の症例は増えていますか。

以前と比べると格段に増えていると看護師が言っていますね。前の大学でともに働いていた先生をヘッドハンティングして連れてきて、2人の獣医師ですが、専門性を活かして「犬猫がんセンター」と名付けました。すると、近隣よりも遠方からの問い合わせが多いですね。
私は自分の専門性を活かした開業がしたいと思いましたので、開業1年目にして自分の思いが叶うのは新規ではあり得ないことですね。このように「強気の経営」がすすめられるのは、最初から売り上げがある承継開業だからこそできることです。

 

西川:建物の外装から内装を行い、そしてトリミングルームと、1年目から積極的に始められていますが、お考えをお聞かせください。

この事業承継で院長が変わったことを、まずは患者さんに認識してほしいと思いました。自分のカラーを出すのは徐々にでもよかったのでしょうが、一気にしてしまった方が患者さんには伝わりやすいのかなと思いました。
承継開業の場合、前の院長先生の流れをそのまま引き継ぐのか、自分のカラーをどんどん出して行くのかで、資金計画がずいぶんと変わってきますので。

 

大学の教員から開業医へ
西川:大学で教員をやっておられて、あえて開業医になろうと思われた理由は何だったのでしょうか。

私は大学の動物病院の所属で、もともと臨床がしたいと思っていました。その大学病院では、最先端の治療をやらせて頂いていました。
一次診療の病院から大学病院に患者さんが送られてくるのですが、「もっと早くみつけてあげられたら」と思うことが多々ありました。こんな思いが段々と強くなってきて、「それなら、自分でやればいい」と思ったのが開業の動機ですね。腫瘍は、ヒトでも早期発見、早期治療が大事とされていますから、動物たちでも早期発見、早期治療ができれば、寿命を全うできるようになると考えています。

 

西川:この事業承継を知ったきっかけは何だったのでしょうか。

大学のセミナーでたまたま西川さんの事業承継の講演を聞いたのがきっかけですね。
その後、西川さんのメディカルプラザから「小冊子」が届いていたのをみて、「これもありか」と思って、西川さんの開業セミナーに参加しました。
そして承継を依頼して、1年以上をかけて承継しました。私は「病院の中に専門診療科として腫瘍科を作りたい」との思いで「がんセンター」を一次病院内に作りましたが、それが開業1年目にしてできるのは、既存患者さんがいる承継開業だったからでしょうね。

 

西川:承継開業するしかなかった、とのことですが、その理由は何だったのでしょうか。

開業するとなると、必ず競合する病院が周辺にはあることになります。また、新規では自由に自分の好きな場所が選べると言いますが、「ここがいい」という場所が空いているとは限りませんし、コンビニ等の「居抜き物件」も、運次第かもしれません。
今ある病院は、立地とか、患者さんとかをわかった上で建っています。
これは、スタートラインからしてまるで違うと思いましたね。

 

西川:周りでこの事業承継で開業された先生はおられますか。また、周りの先生方の反応はどうだったでしょうか。

承継開業した先生は、私の周りにはいませんね。
新規開業した先生ばかりですが、私が病院を引き継いだ後に訪ねて来られて、「めちゃ広いね」「まだ数ヶ月なのに、患者さん、こんなに来るんだ」と驚いていましたね。「新規の1年目とはまるで違う」という反応でした。

 

西川:承継開業されてから、想定外だと思われたことは何か、ありましたか。

私が想定外だと思ったのは、患者さんが初日から来るので、セミナーや勉強会には行きにくくなったことですね。  承継開業では、引き継いだ後ではセミナーや勉強会に出て、知識を拡げたり、スキルを伸ばしたりという機会がもてなくなるかもしれません。
それは仕事が忙しいからで、贅沢な悩みかもしれませんが、この承継によって開業したいのであれば、それまでの間にしっかりとスキルをアップさせておくことが大事でしょう。
私はこの3月にもう1人の勤務医先生をヘッドハンティングできたので、これは問題ではなくなってきていますね。

 

西川:スタッフも含めて、今回承継されたとのことですが、若い先生は、ベテランのスタッフがいるからやりづらいとマイナスで捉えているヒトが多いのですが、この点についてはどうでしょうか。

スタッフも前の病院からフルで引き継ぎましたので、現在は、看護師・常勤が4人、アルバイトが1人、獣医師が2人、そして事務員が1人と、計8人体制でやっています。
私は承継する病院を見学に行った時は、院長先生よりもスタッフと話をするようにしていました。それは、院長先生はいいことしか言わないので、スタッフに話を聞けば、この病院の内容がわかるからです。

 

西川:本日は貴重なお話をありがとうございました。