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【特別対談】100年、事業を残すために、必要な3つの要素とは
藤間秋男氏 + 西川芳彦

TOMAコンサルタンツグループ代表取締役
藤間秋男

Q西川
 藤間代表は、「日本一多くの100年企業を創り続ける」ことを掲げられておられます。藤間代表のTOMAコンサルタンツグループも創業130年の老舗企業ですが、100年残すとなれば、避けては通れない課題が「後継者」だと思います。しかし、今では子供に継がせるのが最大の問題になっています。藤間代表はこの後継者問題についてどう捉えられておられますか。

 

A藤間

子供や親族が継いでくれるのが一番いいのでしょうが、これが一番の問題になっています。そのため、企業を100年残そうと思うと、後継者はそれ以外の第三者から選ばなければなりません。創業家から離れて社員が引き継ぐ「MBO」と、他の会社に売却してしまう「M&A」との2つのパターンがありますが、日本でもこうした手段を講じなければならなくなったのは、子供が親の仕事に興味を持たなくなってきているからです。

 

 

 

Q西川
 それでは、老舗企業はいったいどのようにして子供に承継しているのでしょうか。

 

A藤間

1つ目は、「小さい頃から会社に関係させている」という点です。たとえば、現場に連れて行くとか、社員旅行では必ず同伴するとか、そこでなんらかの仕事を手伝わせる。こうして親がどういう仕事をしているのかを分からせていくのです。

2つ目に「職住一体だった」ことも、子供が承継した大きな要因です。会社と自宅とが一緒ですから、常に親が働いている姿があります。子供は自然と親の背中をみて育つ。それがいつしか会社と自宅とは別であることが当たり前になって、子供が親の仕事を分からなくなってしまいました。朝早く家を出て、夜遅く帰るような生活であれば、子供の顔をみることさえないかもしれません。それである日突然、「この会社を継げ」と言われても、無理です。

そして3つ目の要因は、「親の仕事は楽しい、面白い」と思わせることです。

自宅に帰って、「ああ、嫌だ」とか、「今日はこんなに大変だった」と言っていませんか。

子供に事業を継がせたいなら、こうした親の努力が大事です。特にお医者さん、歯医者さん、獣医師さんは大学を選ぶ時点で進路が決まってしまいますから、その分、早めに取り組んでいくことが必要ですね。

 

 

 

Q西川
 現在、子供が獣医科大学に通っているのは、全病院の2割程度です。これは獣医科大学が医学部並みに難しくなっているからですが、それから国家資格を取らせて継がせても、息子、娘が病院を大きく伸ばすというよりも、かえって衰退させてしまう病院もあります。
獣医師は医療技術や人間性が問われる職業ですから、子供が親と同じ能力を持っているとは限らないからです。
 藤間代表の「100年ビジョン」のように、動物病院をこれから残そうとすれば、第三者に譲るという発想の転換が必要だと思います。このまま廃業が続けば、困るのは患者さんやスタッフですし、業界全体にも大きく影響してくると考えて、その警鐘を鳴らすつもりで、単行本を出すことになりました。藤間代表は、廃業と事業承継についてどう考えておられますか。

 

A藤間

獣医師先生は歯医者さんと似ていますね。当社では歯医者さんのM&Aのコンサルサポートをしていますが、歯医者さんも、獣医師先生も、新規開業が多いという点では同じです。場所を借りて、医療機械は全部買わないと開業できません。それで患者さんがその日から来るかと言えば、何の保証もありません。

そこでご提案しているのが、M&Aでの開業です。今ある歯科医院を承継することで開業する。すでに医療機械はありますし、患者さんもいます。新規開業ではないメリットが承継開業にはありますから、この承継開業の方が得ですよと勧めています。

どの歯医者さんも、これまで病院経営を続けてきたという実績をもっています。子供が継がないからといってこのまま終わらせてしまうよりは、開業したい第三者は一杯いるのですから、引き継いでもらう方がいい。そこで我々コンサルタントの出番があるわけですが、「後継者のいない医院」と「開業したい第三者」とをつなげていくことで新たなチャンスが生まれると思っています。

そして廃業、会社で言えば倒産ですが、後継者がいないことでこの道を選んでしまう経営者がいますが、そこで、自分が育ててきた会社や病院を終わらせてしまうことの意味を考えて頂きたいと申し上げたい。それは、「自分がこれまで生きてきたことの証しを自分で無くそうとしている行為である」ということです。

 

この特別対談は単行本『なぜ8割の動物病院が廃業になるのか』に続きます。

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藤間秋男 略歴

TOMAコンサルタンツグループ株式会社代表取締役・理事長

昭和27年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、昭和57年、藤間公認会計士税理士中小企業診断士事務所開設。昭和59年、優和公認会計士共同事務所開設(全国60人規模の情報ネットワーク)。昭和63年、(株)トウマ・コンサルタント・グルーブ設立。著書に『どんな危機にも打ち勝つ100年企業の法則』(PHP研究所)、『1/4は捨てなさい』(ダイヤモンド)等があり、経営・財務、事業承継・相続、税務会計、人事労務など、多岐にわたる講演活動を行っている。